iDeCoの節税額と受け取り時の税金シミュレーション(掛金の上限・一時金と年金・退職金との重なり)

iDeCoの掛金の月額上限(令和8年12月の引き上げ前後)と、毎年の節税額、受け取るときの税金を計算。一時金と年金の比較、退職金と同じ時期に受け取ったときの退職所得控除の重なりまでわかります。

35歳
¥5,000,000
会社に企業型DC・企業年金(DB)がある、または公務員
円
円

どちらも勤め先や共済から通知される額です(わからなければ勤め先に確認してください)。企業型DCがある会社では、会社の規約でiDeCoとの併用が認められている必要があります。

¥23,000
60歳になるまで
3%
手数料

国民年金基金連合会の分は令和9年1月から月120円です。このほか新規加入時に¥2,829がかかります。金融機関によっては口座管理の手数料が別にかかります(運用する商品の信託報酬は、上の利回りに含めて考えてください)。

受け取るとき

65歳
10年
50%
円
65歳

掛金の上限と、毎年の節税額

¥41,690

毎年の所得税・住民税の減る額(掛金を所得から引いたときと引かないときの差)です。

掛金の月額上限
¥62,000
計算に使う毎月の掛金
¥23,000
所得税の減る額(復興特別所得税を含む)
¥14,090
住民税の減る額
¥27,600
掛金に対する節税の割合
15.1%
25年間の節税の合計
¥1,042,245

社会保険料は手取り計算と同じ料率の概算で、掛金は課税所得から全額引きます。社会保険料は減りません。 令和8年分の税制で計算し、毎年同じ収入が続く前提です。

積み立て

掛金の合計
¥6,900,000
手数料の合計(加入中)
¥38,829
65歳で受け取り始めるときの残高
¥11,785,487

受け取り方による税金の違い

受け取り方税金受取総額節税 − 税金
全部、一時金で受け取る¥21,271¥11,785,487¥1,020,974
全部、年金で受け取る(10年)¥1,927,105¥13,413,773-¥884,860
一時金50% + 年金50%(10年)¥730,400¥12,599,630¥311,845

公的年金は年¥1,500,000(65歳から)として計算しています。税金は、iDeCoを受け取ったことで増える所得税+住民税です。年金の受取総額は、受け取っている間も残りを運用する前提なので、一時金より大きくなります。「節税 − 税金」は、掛金のときに減った税金の合計から、受け取るときに増える税金を引いた額です(時間の長さによる価値の違いは考えていません)。

一時金で受け取る年: 勤続年数(掛金を払った期間)25年、退職所得控除 ¥11,500,000、課税される退職所得 ¥142,000。

概算のシミュレーションです。税制は令和8年分(掛金を払う間)と、受け取る年分のルールで計算し、金額は名目の円で、税の金額基準は物価で動かしていません。社会保険料への影響、運用商品の信託報酬、配偶者控除など所得控除の変化、住民税の調整控除は含みません。実際の税額は、お住まいの市区町村・税務署・税理士・運営管理機関にご確認ください。税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。

iDeCoの掛金の月額上限(令和8年12月から変わります)

iDeCoの上限は、国民年金の加入区分と、勤め先の企業年金で決まります。令和8年12月1日から、会社員の上限が大きく上がり、企業型DCの人の「iDeCoは月2万円まで」という上限もなくなります。条文(確定拠出年金法施行令 第36条)のとおりに計算した月額は次のとおりです。

加入区分令和8年11月まで令和8年12月から
会社員(企業年金なし)¥23,000¥62,000
会社員(企業型DC・事業主掛金2万円)¥20,000¥42,000
会社員(企業型DC・事業主掛金5万円)¥5,000¥12,000
自営業・フリーランス¥68,000¥75,000
専業主婦(夫)¥23,000¥23,000

企業年金(DB)や公務員の人は、勤め先や共済から通知される「他制度掛金相当額」「共済掛金相当額」を上限から引きます(令和8年12月から。それまでは、3.5万円を超えた分を2万円から引く形でした)。自営業の人は、国民年金基金の掛金や付加保険料を払う月は、その額を上限から引きます。上限があっても、iDeCoの掛金は1,000円単位で、最低5,000円です。

年収ごとの、毎年の節税額(会社員・35歳・企業年金なし)

掛金は全額が所得控除になるので、減る税金は「掛金 × 所得税の税率(復興特別所得税を含む)」と「掛金 × 10%(住民税)」の合計です。課税される所得が小さい人は、所得税の税率が5%にとどまるため、節税額は掛金の15%ほどです。

額面の年収月2.3万円(年27.6万円)月6.2万円(年74.4万円)
¥3,000,000¥41,690(15.1%)¥101,865(13.7%)
¥5,000,000¥41,690(15.1%)¥112,381(15.1%)
¥7,000,000¥76,098(27.6%)¥170,680(22.9%)
¥10,000,000¥83,959(30.4%)¥226,325(30.4%)

令和8年分の税制で、単身・扶養なし、社会保険料は手取り計算と同じ料率の概算です。月6.2万円は令和8年12月から企業年金のない会社員が払える上限です。カッコ内は掛金に対する節税の割合です。

退職金と近い時期に受け取ると、税金が大きく変わります

iDeCoを一時金で受け取ると、退職金と同じ「退職所得」になり、退職所得控除が使えます。控除額は勤続年数で決まり、iDeCoでは掛金を払った年数が勤続年数です。ただし、前に受け取った退職手当等と勤続期間が重なる分は、あとから受け取るほうの控除から引かれます(所得税法施行令第70条)。退職金を先に受け取った場合は19年以内、iDeCoの一時金を先に受け取った場合は9年以内(令和8年1月1日以後に受け取ったiDeCoの一時金)が対象です。

例として、40歳から60歳まで20年間iDeCoの掛金を払って一時金が¥10,000,000、勤め先の退職金が2,000万円(勤続38年、60歳で受け取る)の人を考えます。退職金だけなら控除2,060万円の範囲内で税金は0円、iDeCoだけなら控除800万円で税金は¥151,050です。

iDeCoの一時金を受け取る年齢(退職金は60歳)重なる年数退職所得控除iDeCoの分で増える税金
60歳(同じ年)合算して計算¥20,600,000¥993,262
62歳(2年後)19年¥800,000¥957,425
65歳(5年後)19年¥800,000¥957,425
69歳(9年後)19年¥800,000¥957,425
70歳(10年後)19年¥800,000¥957,425
79歳(19年後)19年¥800,000¥957,425
80歳(20年後)なし¥8,000,000¥150,500

退職金を先に受け取ると、60歳の翌年から79歳まで、iDeCoの退職所得控除は80万円(下限)まで減り、増える税金は¥957,425で変わりません。同じ年に受け取った場合は、通算の勤続年数38年の控除を共用するので¥993,262、20年以上あけると重なりはなくなって¥150,500です。

順番を逆にして、iDeCoの一時金を60歳で先に受け取り、退職金をあとにすると、対象は9年以内です。

退職金を受け取る年齢(iDeCoは60歳)iDeCoの分で増える税金
60歳(同じ年)¥993,262
62歳(2年後)¥655,575
65歳(5年後)¥444,525
68歳(8年後)¥286,500
69歳(9年後)¥233,825
70歳(10年後)¥151,050

iDeCoを先に受け取る場合は、退職金までの年数が長いほど重なりが小さくなり、10年あけると(70歳)重なりがなくなって¥151,050になります。たとえば退職金を65歳に受け取るなら、iDeCoの分として増える税金は¥444,525です(退職金を65歳にすると勤続も38年から43年になる前提)。

令和30年分(2048年)以後の防衛特別所得税は1%が続くと仮定しています。上の表は条文どおりの計算で、iDeCoの運営管理機関や勤め先で受け取る時期を自由に決められるとは限りません。

年金で受け取ると、ほかの年金と合算されます

iDeCoを年金で受け取ると、国民年金や厚生年金と同じ「公的年金等」の雑所得になり、公的年金等控除(65歳以上は最低110万円)を引いた残りが、ほかの年金と合算されて課税されます。上の¥10,000,000を、65歳から10年間、毎年¥1,000,000ずつ受け取り、公的年金が年150万円ある人だと、増える税金は毎年¥141,390、10年で¥1,413,900です(運用は0%、令和10年分以後の基礎控除で計算)。公的年金だけなら住民税がかからない人でも、iDeCoの年金が加わると住民税がかかり始めることがあります。上のツールで、ご自身の公的年金の額に合わせて比べてみてください。

よくある質問

Q.iDeCoの掛金は、いくら節税になりますか?

掛金の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になるので、減る税金は「掛金 × (所得税率 × 1.021 + 住民税10%)」です。年収500万円の会社員(35歳)が月2.3万円を払うと、年に¥41,690(掛金の15.1%)、年収1,000万円なら¥83,959(30.4%)の節税です。収入が少ない人は課税される所得が小さく、節税も小さくなります。節税額は所得税・住民税が減る額で、健康保険料や年金保険料は減りません。

Q.一時金と年金では、どちらが税金は少ないですか?

受け取る時期のほかの収入で変わるので、一概には言えません。一時金は退職所得控除(勤続20年まで1年40万円、20年を超えると1年70万円)を使えて、残りの2分の1だけが課税されますが、退職金と近い時期に受け取ると控除が重なって減ります。年金は公的年金等控除を使えますが、ほかの年金と合算されて課税され、住民税や医療・介護の保険料にも関わります。このツールは、あなたの条件で3つの受け取り方(一時金・年金・併用)の所得税と住民税を並べます。保険料への影響は計算に入れていません。

Q.iDeCoは何歳から受け取れますか?

掛金を払った期間(運用だけの期間を含む通算加入者等期間)が10年以上あれば60歳から受け取れます。8年以上で61歳、6年以上で62歳、4年以上で63歳、2年以上で64歳、1か月以上で65歳からです(確定拠出年金法第33条)。75歳になると受け取りが始まります(同第34条)。掛金を払っている間は受け取れないので、受け取り始める年齢は、掛金を払い終えたあとになります。

Q.退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、損ですか?

同じ年に受け取ると、通算した勤続年数の控除を共用するので、別々に受け取るより控除が小さくなりがちです。ただ、時期を少しずらせば解決するわけでもありません。上の例では、同じ年が¥993,262、退職金を先に受け取った翌年以降の19年間は¥957,425で、重なりがなくなるのは20年以上あけたときだけです。iDeCoを先に受け取るなら、退職金まで10年あければ重なりがなくなります。ご自身の金額は、ツールの「受け取る年齢ごとの税金」で確かめてください。

Q.この計算に入っていないものは何ですか?

年金から引かれる国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療の保険料、一時金がそれらに及ぼす影響、掛金を払い終えたあとの運用の手数料、運用商品の信託報酬(利回りに含めて考えます)、配偶者控除など所得控除の変化、住民税の調整控除、給与と公的年金を同じ年に受け取る人の令和10年分からの公的年金等控除の調整、障害退職・特定役員退職手当等です。税制は令和8年分(掛金の間)と受け取る年分のルールで、金額は名目の円、税の金額基準は物価で動かしていません。

Q.iDeCoと、新NISAや企業型DCはどう違いますか?

iDeCoは掛金が所得控除になる代わりに、原則として60歳まで引き出せず、受け取るときに課税されます。新NISAは掛金の控除はありませんが、運用益が非課税で、いつでも引き出せます。企業型DCがある会社の人は、令和8年12月から、企業型DCとiDeCoの合計が月6.2万円(企業年金などの他の掛金も合わせて)の範囲で、iDeCoの掛金を決められます。新NISAの積み立ては新NISA資産額シミュレーション、家計全体は資産推移シミュレーションで計算できます。

出典