在職老齢年金の計算シミュレーション(令和8年4月から基準額65万円)
働きながら老齢厚生年金を受け取る人の、年金の支給停止額を無料で計算。基本月額と総報酬月額相当額(月給+賞与÷12)の合計が65万円(令和8年度)を超えた分の半分が停止されます。令和7年度までの51万円との違い、年金が減り始める給与・全額停止になる給与もわかります。厚生年金保険法第46条と日本年金機構の早見表どおりの計算です。
支給される老齢厚生年金(月額の目安)
¥85,000
合計が支給停止調整額を超えた¥30,000の半分(¥15,000)が、月額で支給停止されます。賃金が月1万円増えるごとに、年金は月5,000円ずつ減ります。
計算の内訳(令和8年度)
この年金額では、総報酬月額相当額が¥550,000を超えると年金が減り始め、¥750,000以上で老齢厚生年金が全額停止になります。
令和7年度までの基準(51万円)と比べると
令和8年4月に、年金が減り始める基準額(基本月額と総報酬月額相当額の合計)が51万円から65万円に引き上げられました。基準額は毎年度、賃金の変動に応じて改定されます(日本年金機構)。
概算のシミュレーションです。令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の支給停止調整額65万円で、厚生年金保険法第46条の計算をそのまま行います。老齢厚生年金(報酬比例部分)のみを対象にし、加給年金額・繰下げ加算額、高年齢雇用継続給付との調整(60歳以上65歳未満)、共済組合などの年金が複数ある場合の割り振り、在職定時改定・退職改定による年金額の変更、年金や給与にかかる税金・社会保険料は扱いません。1円未満の端数の扱いは確認していません。実際の額は、日本年金機構の年金証書・支給停止額の通知書で確認してください。税務・法律・社会保険労務の専門的助言ではありません。
計算の流れ
- 基本月額を求めます。老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額から、加給年金額と繰下げ加算額を除いて、12で割った額です(厚生年金保険法第46条第1項)。
- 総報酬月額相当額を求めます。その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額を足した額です。標準賞与額は、賞与の1,000円未満を切り捨てた額で、1か月に150万円が上限です。
- 基本月額と総報酬月額相当額の合計が、支給停止調整額(令和8年度は65万円、令和7年度は51万円)以下なら、老齢厚生年金は全額支給されます。
- 超えるときは、超えた額の半分(×12で年額)が、老齢厚生年金から支給停止されます。支給停止額が老齢厚生年金の額以上になると、老齢厚生年金は全額停止で、加給年金額も止まります。老齢基礎年金は停止されません。
具体例:基本月額と総報酬月額相当額ごとの、支給停止額(月額)
令和8年度(基準額65万円)の、月あたりの支給停止額です。賞与がない場合は、総報酬月額相当額は標準報酬月額と同じです(標準報酬月額の上限は65万円なので、65万円を超える総報酬月額相当額は、賞与があるときにだけ生じます)。日本年金機構の早見表と同じ計算で、全額停止になる場合は「全額停止」と書いています。
| 基本月額(年金の年額)\総報酬月額相当額 | 55万円 | 60万円 | 65万円 | 70万円 | 80万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5万円(60万円) | 0円 | 0円 | ¥25,000 | 全額停止 | 全額停止 |
| 10万円(120万円) | 0円 | ¥25,000 | ¥50,000 | ¥75,000 | 全額停止 |
| 15万円(180万円) | ¥25,000 | ¥50,000 | ¥75,000 | ¥100,000 | 全額停止 |
| 20万円(240万円) | ¥50,000 | ¥75,000 | ¥100,000 | ¥125,000 | ¥175,000 |
日本年金機構のリーフレットの例は、老齢厚生年金120万円(基本月額10万円)、標準報酬月額47万円、賞与の標準賞与額132万円(月額11万円)で、総報酬月額相当額58万円です。合計は68万円で、65万円を3万円超えるため、その半分の¥15,000が月に停止され、¥85,000が支給されます。このツールも同じ結果になります(ビルド時に確かめています)。
基準額が51万円だった令和7年度までは、基本月額10万円の人が全額支給になる総報酬月額相当額は41万円まででした。令和8年4月から65万円になり、55万円まで引き上がりました(日本年金機構の早見表)。
よくある質問
Q.在職老齢年金とは何ですか? 65万円とは何の金額ですか?
老齢厚生年金をもらっている人が、厚生年金の被保険者として働いている(70歳以上で厚生年金の事業所に勤めている場合を含む)とき、年金の一部または全部が支給停止になる仕組みです。調整の対象は老齢厚生年金だけで、老齢基礎年金は減りません(日本年金機構)。
65万円は、基本月額と総報酬月額相当額を足した額が、これを超えると年金が減り始める基準額(支給停止調整額)です。令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)により、令和8年4月に51万円から65万円に引き上がりました。この額は令和8年度の額で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます(日本年金機構)。
Q.総報酬月額相当額には、賞与も入りますか?
入ります。総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額の合計です(厚生年金保険法第46条、日本年金機構)。賞与が多い人は、月給が同じでも、年金が多く停止されます。
標準賞与額は、賞与額の1,000円未満を切り捨てた額で、1か月につき150万円が上限です(日本年金機構の保険料額表)。このツールは、賞与の各回が別々の月に支払われたものとして計算します。同じ月に2回以上支払われる場合は、その月の分をまとめて150万円が上限になります。
Q.働くと、手取りが減ってしまうのですか?
年金が減る額は、基準額を超えた分の半分です。給与が1万円増えても、年金が減るのは5,000円なので、賃金と年金の合計は増え続けます(全額停止になった後は、年金の減少がなくなり、賃金の分だけ増えます)。厚生労働省・日本年金機構のリーフレット(2026年1月版)も、基準額を超えたあとも、実際に支給される年金と賃金の合計はなだらかに増えていく仕組みで、手取り収入が減ることはない、と説明しています。
このツールは、税金と社会保険料を引く前の額で計算しています。給与にかかる所得税・住民税・厚生年金保険料・健康保険料、年金にかかる所得税などは、含めていません。
Q.加給年金や老齢基礎年金、経過的加算は、どうなりますか?
基本月額には、加給年金額と繰下げ加算額を含めません(第46条第1項)。老齢基礎年金と経過的加算額は、全額支給されます。一方、在職による支給停止で老齢厚生年金が全額停止になるときは、加給年金額も支給停止になります(日本年金機構)。
このツールには、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額だけを入れてください。ねんきん定期便や年金証書に、加給年金額が別に書かれています。
Q.70歳を過ぎて働いている場合や、60代前半の場合は?
70歳以上でも、厚生年金の事業所に勤めている間は、厚生年金の被保険者のときと同じ方法で在職による支給停止が行われます。70歳以上の人は被保険者ではないため、保険料の負担はありません(日本年金機構)。標準報酬月額・標準賞与額は、それぞれ「相当する額」で計算します。
65歳未満の人も、令和4年4月から、65歳以上の人と同じ仕組みで計算されます(日本年金機構のリーフレット)。60歳以上65歳未満で高年齢雇用継続給付を受けているときは、これとは別に、年金の一部(最高で標準報酬月額の4%)が停止されます。このツールは、その調整は計算していません。
Q.年金額は、働いている間に増えますか?(在職定時改定)
65歳以上70歳未満で、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている人は、毎年9月1日に被保険者であれば、翌月の10月分から、前年9月から当年8月までの加入期間を加えて年金額が再計算されます(在職定時改定)。また、退職して1か月が過ぎたとき、70歳に到達したときも、年金額が見直されます(退職改定)。再計算の結果、支給停止額が変わることがあります(日本年金機構)。このツールは、再計算後の年金額を入れて使ってください。
Q.このツールの前提と、計算していないものは?
令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の支給停止調整額65万円で、厚生年金保険法第46条の式をそのまま計算します。標準報酬月額は、厚生年金の等級表(令和8年度。32等級、上限65万円)で、毎月の給与から求めます。日本年金機構の早見表(基準額51万円・65万円の全110マス)と、リーフレットの計算例を、ビルド時のテストで再現しています。
計算していないものは、加給年金額と繰下げ加算額、高年齢雇用継続給付との調整、共済組合など複数の老齢厚生年金がある場合の割り振り、在職定時改定・退職改定による年金額の変更、年金・給与にかかる税金と社会保険料、令和9年度以降の基準額(毎年度改定されます)です。標準報酬月額の上限は、令和9年9月から68万円へ、段階的に75万円まで引き上げられる予定で(改正法)、その後は計算が変わります。実際の額は、日本年金機構の年金証書・支給停止額の通知書で確認してください。
出典
- 日本年金機構 — 在職老齢年金の計算方法(令和8年4月からの基準額65万円、基本月額・総報酬月額相当額、全額停止・老齢基礎年金・加給年金額の扱い、在職定時改定)
- 日本年金機構 — 在職老齢年金早見表(PDF。基準額51万円と65万円の場合の停止額)
- 厚生労働省・日本年金機構 — 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます(2026年1月版 PDF)
- 日本年金機構 — 在職老齢年金の支給停止の仕組み(リーフレット LK39。計算例、令和7年度の基準額51万円、高年齢雇用継続給付との調整)
- e-Gov法令検索 — 厚生年金保険法(第46条 支給停止、第20条 標準報酬月額)
- 日本年金機構 — 厚生年金保険料額表(令和8年度版 PDF。標準報酬月額の等級表と標準賞与額の上限)