在職老齢年金の65万円:働いても年金が減らない給与はいくらまで? 基本月額別の早見表と、51万円だった令和7年度との差(令和8年度)

基本月額10万円(老齢厚生年金が年120万円)の人は、総報酬月額相当額が55万円(令和7年度は41万円)までなら全額支給、75万円以上(令和7年度は61万円)で全額停止。その間は、賃金が月1万円増えるごとに年金が5,000円ずつ減り、合計は増え続けます。総報酬月額相当額が60万円の人は、基準額が65万円になって年金が年84万円多く支給されます。基本月額5万〜25万円の早見表と、同じ年収でも月給と賞与の分け方で停止額が変わる例まで、日本年金機構の早見表と同じ計算でまとめました。

公開日 2026年10月10日

出典の確認・検証・訂正について

働きながら老齢厚生年金をもらうと、賃金が多い人は年金の一部または全部が支給停止になります。この記事は、令和8年4月に基準額が51万円から65万円に引き上がったあとの仕組みを、基本月額別の早見表にしたものです。計算は日本年金機構の早見表と同じで、本サイトの計算エンジンで求めています。

結論から言うと、基本月額10万円(老齢厚生年金が年120万円)の人は、総報酬月額相当額が55万円までなら老齢厚生年金が全額支給され(令和7年度は41万円まで)、75万円以上で全額停止になります(令和7年度は61万円以上)。その間は、賃金が月1万円増えるごとに年金が5,000円ずつ減り、賃金と年金の合計は増え続けます。総報酬月額相当額が60万円の人は、基準額が65万円になって、年金が年84万円多く支給されます。

自分の年金額と給与・賞与で計算したい場合は、在職老齢年金の計算シミュレーションをご利用ください。

基本月額別:年金が減り始める点と、全額停止になる点

基本月額は、老齢厚生年金(報酬比例部分。加給年金額と繰下げ加算額を除く)の年額を12で割った額、総報酬月額相当額は、標準報酬月額に、直近1年の標準賞与額の総額を12で割った額を足した額です。2つの合計が基準額を超えると、超えた分の半分が停止されます。したがって、年金が減り始める総報酬月額相当額は「基準額 − 基本月額」、全額停止になるのは「基準額 + 基本月額」です。

基本月額(年金の年額)減り始める(令和8年度)全額停止(令和8年度)減り始める(令和7年度)全額停止(令和7年度)
5万円(60万円)60万円70万円46万円56万円
10万円(120万円)55万円75万円41万円61万円
15万円(180万円)50万円80万円36万円66万円
20万円(240万円)45万円85万円31万円71万円
25万円(300万円)40万円90万円26万円76万円
表の金額は、総報酬月額相当額(標準報酬月額+標準賞与額の総額÷12)の、この額を超えると減り始める・この額以上で全額停止になる、という境目です。年収に直すと、標準報酬月額×12に標準賞与額の総額を足した額で、おおまかに「総報酬月額相当額×12」です。基準額は令和8年度の65万円で、毎年度、賃金の変動に応じて改定されます(日本年金機構)。

どの基本月額でも、令和7年度から令和8年度で、減り始める点も全額停止の点も、14万円ずつ上がりました。たとえば基本月額10万円の人は、全額支給になる総報酬月額相当額の上限が、41万円から55万円になりました(日本年金機構の早見表の例と同じです)。

基本月額10万円の人の、給与別の年金と、令和7年度との差

老齢厚生年金が年120万円(基本月額10万円)で、賞与がない場合の、月あたりの金額です。令和7年度と令和8年度で、同じ給与のときの年金の支給額を比べました。

給与(標準報酬月額)停止される額支給される年金賃金+年金令和7年度の支給額令和8年度に増える額(年額)
40万円0円100,000円500,000円100,000円0円
50万円0円100,000円600,000円55,000円540,000円
55万円0円100,000円650,000円30,000円840,000円
60万円25,000円75,000円675,000円5,000円840,000円
65万円50,000円50,000円700,000円0円600,000円

給与が55万円までは年金は減らず、60万円で月25,000円、65万円(標準報酬月額の上限)で月50,000円が停止されます。給与が5万円増えるごとに、停止額は2万5千円増え、賃金と年金の合計は2万5千円増えます。令和8年度に増える年金は、給与60万円のときが最も大きく、年84万円です(令和7年度は、給与60万円のとき年金のほとんどが停止されていました)。

「働くと損」ではない:賃金が増えれば、合計も増える

在職老齢年金は、基準額を超えた分の半分だけ年金を止める仕組みです。給与が1万円増えると年金が5,000円減りますが、賃金は1万円増えているので、賃金と年金の合計は5,000円増えます。年金がすべて止まったあとは、賃金の分だけ合計が増えます。厚生労働省・日本年金機構のリーフレット(2026年1月版)も、基準額を超えても、支給される年金と賃金の合計はなだらかに増えていき、手取り収入が減ることはない、と説明しています。

ここで言う合計は、税金と社会保険料を引く前の額です。給与にかかる所得税・住民税・社会保険料や、年金にかかる所得税は、この記事の計算に入っていません。

年収が同じでも、月給と賞与の分け方で停止額が変わることがある

総報酬月額相当額は、おおまかに「年収÷12」なので、年収が同じなら、月給と賞与の分け方はほとんど関係しません。ただし、標準報酬月額は、月給を等級に当てはめた額で、月給より高くなる場合があります。次の2人は、年収が同じ600万円で、基本月額15万円(年金が年180万円)です。

働き方年収標準報酬月額総報酬月額相当額停止される額(月額)
月給50万円・賞与なし600万円500,000円500,000円0円
月給40万円・賞与60万円を年2回600万円410,000円510,000円5,000円

月給40万円は標準報酬月額が41万円の等級に当たるため、賞与(60万円×2回の標準賞与額は120万円、月に直して10万円)を足すと、総報酬月額相当額は510,000円になります。基本月額15万円との合計が66万円で、基準額を1万円超えるため、月5,000円が停止されます。月給50万円で賞与がなければ、合計はちょうど65万円で、停止はありません。境目の近くでは、等級の丸めで結果が変わるので、実際の標準報酬月額は、給与明細や標準報酬月額の決定通知書で確かめてください。

この早見表に入っていないこと

  • 基準額は令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の65万円で、毎年度改定されます。令和9年度以降の額は、この記事の時点では出ていません。厚生年金の標準報酬月額の上限は、令和9年9月から68万円、令和10年9月に71万円、令和11年9月に75万円へ引き上げられる予定で(改正法)、そのときは総報酬月額相当額の計算が変わります。
  • 加給年金額と繰下げ加算額は、基本月額に含めません。老齢厚生年金が全額停止になると、加給年金額も止まります。老齢基礎年金と経過的加算額は止まりません(日本年金機構)。
  • 60歳以上65歳未満で高年齢雇用継続給付を受けるときは、この計算とは別に、年金の一部(最高で標準報酬月額の4%。令和7年3月31日以前に60歳に達した人などは6%)が停止されます(日本年金機構のリーフレット)。共済組合などから老齢厚生年金も受けている場合は、全部の年金を合わせて計算し、停止額を割り振ります。
  • 65歳以上70歳未満で厚生年金に加入していると、毎年9月1日の加入期間を反映して、10月分から年金額が増えます(在職定時改定)。年金額が変わると、基本月額と停止額も変わります。
  • 標準賞与額は、1回の賞与の1,000円未満を切り捨てた額で、1か月につき150万円が上限です。この記事は、各回が別々の月に支払われたものとして計算しています。

一般的な情報であり、専門的助言ではありません。実際の支給停止額は、日本年金機構が、年金の額と標準報酬月額・標準賞与額の届出にもとづいて決めます。この記事は、2026年10月10日時点の内容です。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。