国民年金保険料の免除・納付猶予・追納の計算(所得の基準・年金額・元が取れる年齢)

国民年金保険料の全額免除・納付猶予・部分免除・学生納付特例が、前年の所得で通るかを判定し、免除・猶予の期間があると老齢基礎年金がいくらになるか、追納すると保険料がいくらかかって年金がいくら増えるか(加算額・社会保険料控除・元が取れる年齢)を計算します。令和8年度。

あなた

所得は、免除を受けたい月の属する年の前年(1〜6月分は前々年)の所得です。令和8年7月〜令和9年6月分は、令和7年中の所得を見ます。

本人
円
円

所得の基準を満たす区分

全額免除の基準を満たします

上の表の一番手厚い区分です。申請すれば、所得の面では承認される見込みです(実際の承認は日本年金機構が審査します)。

区分ごとの判定

区分納める保険料(月)所得の上限判定
全額免除¥0本人 67万円満たす
納付猶予¥0本人 67万円満たす
4分の3免除¥4,480本人 88万円満たす
半額免除¥8,960本人 128万円満たす
4分の1免除¥13,440本人 168万円満たす
学生納付特例学生のみ・本人の所得だけ¥0本人 128万円満たす

全額免除と納付猶予の上限は(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円、部分免除と学生納付特例は88万円(4分の3)・128万円(半額・学生)・168万円(4分の1)に扶養親族等の加算(38万円、老人48万円、特定63万円)と社会保険料控除などの額を足した額です。納付猶予は本人と配偶者、全額免除と部分免除は本人・配偶者・世帯主の全員が基準を満たす必要があります。

概算のシミュレーションです。令和8年度の保険料・年金額(日本年金機構)と、国民年金法・同施行令の現行の条文で計算します。免除・猶予の承認は、日本年金機構が所得の証明で審査します(失業等の特例、法定免除、産前産後・育児の免除、被災による免除などはここでは見ていません)。年金額は昭和31年4月2日以後生まれの人の老齢基礎年金で、物価・賃金のスライドとマクロ経済スライドは入れていません。追納の加算額は令和8年度中(令和9年3月まで)に追納する場合の率で、年度が変わると政令で変わります。税の減り方は目安です。税務・社会保険労務の専門的助言ではありません。

計算の流れ

  1. 免除・納付猶予は、免除を受けたい月の属する年の前年(1〜6月分は前々年)の所得で審査されます。全額免除と納付猶予は(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円以下、4分の3免除は88万円、半額免除は128万円、4分の1免除は168万円に、扶養親族等の加算と社会保険料控除などの額を足した額以下です(国民年金法施行令第6条の7〜第6条の12)。
  2. 全額免除・部分免除は本人・配偶者・世帯主の全員が、納付猶予は本人と配偶者が、学生納付特例は本人だけが基準を満たす必要があります(国民年金法第90条〜第90条の3、附則)。
  3. 免除の期間の保険料は、全額免除なら0円、4分の3免除なら¥4,480、半額免除なら¥8,960、4分の1免除なら¥13,440を納めます(令和8年度。保険料は¥17,920)。
  4. 老齢基礎年金は、満額(令和8年度は昭和31年4月2日以後生まれで年額847,300円)に、納付した月を1、4分の1免除を7/8、半額免除を6/8(3/4)、4分の3免除を5/8、全額免除を1/2として数えた月数を480で割った割合を掛けます。納付猶予と学生納付特例は年金額には数えません(国民年金法第27条)。
  5. 追納は、免除された保険料に、免除・猶予の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降は加算額(年度ごとの率)を足した額です。承認の月の10年前の同じ月分から、古い月から順に追納できます(第94条、施行令第10条)。追納した保険料は全額が社会保険料控除の対象です。

例: 令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の12か月を追納すると

当時の区分追納する額年金の増額(年)元が取れる年齢
全額免除(税の減りを見込まない)¥210,120¥10,59284.8歳
全額免除(所得税10%+住民税の控除を見込む)¥167,655(正味)¥10,59280.8歳
納付猶予・学生納付特例(税の減りを見込まない)¥210,120¥21,18374.9歳
納付猶予・学生納付特例(所得税10%+住民税の控除を見込む)¥167,655(正味)¥21,18372.9歳

同じ保険料を追納しても、全額免除だった月は年金に数えられていた分(1/2)が残るため、増えるのは半分だけです。納付猶予・学生納付特例の月は年金額に0として数えられていたので、満額の分がまるごと増えます。追納額あたりの増え方は、猶予・学生納付特例のほうが2倍です(年金の増額1円あたり、19.8円と9.9円)。

最も古い平成28年度分は、加算額(1か月590円)を足しても12か月で¥202,200と、令和7年度分より安くなります。当時の保険料のほうが安かったためです。それでも元が取れる年齢は、税の減りを見込まない全額免除で84.1歳と、令和7年度分とほぼ同じです。

65歳から受け取り、年金の額は今の円で一定、利息・物価の上昇・年金の改定は入れていません。どちらが得かを勧めるものではなく、計算の前提を置いたときの数字です。

よくある質問

Q.免除を申請せずに未納のままだと、何が違いますか?

日本年金機構によると、保険料の全額を免除された期間は、老齢基礎年金を受け取るとき、全額納付した場合の年金額の2分の1(税金分)を受け取れます。手続きをせず未納になると、この2分の1は受け取れません。

また、免除・納付猶予を受けた期間は、障害基礎年金・遺族基礎年金の保険料納付要件にも「納付済み」と同じように数えられます。未納のままだと、初診日(死亡日)の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、納付済み(免除を含む)が3分の2に満たない場合などは、障害基礎年金・遺族基礎年金が支給されません。

Q.納付猶予と全額免除は、どう違いますか?

どちらも保険料は0円で、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)には数えられます。違いは年金額で、全額免除の期間は年金額の1/2が数えられますが、納付猶予の期間は年金額に入りません。納付猶予は20歳以上50歳未満が対象で、本人と配偶者の所得を見ます(全額免除は世帯主の所得も見ます)。所得の基準の式は同じです。納付猶予は、追納すると満額の分が増えます(年に約2万円。1年分の場合)。

Q.学生納付特例の所得の基準は、親の所得も関係しますか?

学生納付特例は、申請する本人の所得だけで審査され、家族の所得の多寡は問われません(日本年金機構)。基準は128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等です。学生以外の人の全額免除や部分免除は、世帯主・配偶者の所得も見られるので、親と同じ世帯に入っていて親の所得が基準を超えると承認されません。

Q.追納はいつまでできますか? 加算額はいつから付きますか?

追納が承認された月の前10年以内の免除等の期間が対象です。日本年金機構の例では、令和8年7月に追納する場合は平成28年7月分以降です。免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が付きます(令和6・7年度分は加算なし)。

加算の率は政令(施行令第10条)で年度ごとに決まり、年が変わると変わります。令和7年度中に追納する場合の表では平成29年度分が2.0%、令和4年度分が0.9%、令和5年度分は加算なしでしたが、令和8年度中の表では平成29年度分が3.5%、令和4年度分が2.4%、令和5年度分が1.5%です。1か月の加算額にすると、平成29年度分が330円から580円、令和4年度分が150円から400円、令和5年度分が0円から250円です。令和9年度の率は、このページの時点では決まっていません。

Q.追納すると、税金は安くなりますか?

追納した保険料は、全額が社会保険料控除の対象です(日本年金機構)。その年に支払った額が、その年の所得税・住民税の控除になるので、所得税率が10%の人なら、追納額のおよそ2割(所得税10.21%+住民税10%)が税として戻る計算です。1年分をまとめて追納するとその年の控除が大きくなります。上のツールで税率を選ぶと、正味の負担と元が取れる年齢が変わります。

Q.老齢基礎年金をもらい始めたあとでも、追納できますか?

できません。老齢基礎年金を受け取ることができる人は追納できません(日本年金機構、国民年金法第94条第1項)。繰上げ受給を請求すると、その時点から追納できなくなります。

Q.この計算に入っていないものは?

失業・事業の廃止などの特例による免除(前年の所得にかかわらず)、法定免除(障害年金・生活扶助を受けている人)、産前産後・育児の免除、被災による免除、配偶者からの暴力を受けた人の特例免除、納付猶予・学生納付特例を受けられる学校の判定、合算対象期間(カラ期間)、付加保険料・国民年金基金、昭和31年4月1日以前生まれの人の年金額、年金額のスライド、利息・割引です。承認の可否と金額は日本年金機構が決めます。

年金を受け取る年齢は年金の繰上げ・繰下げのシミュレーション、会社員の保険料は社会保険料の計算、年金から払う税は住民税非課税の判定で計算できます。

出典