不動産売却の税金(譲渡所得税)シミュレーション(令和8年・9年)

土地・建物を売ったときの所得税・復興特別所得税・住民税を計算。マイホームの3,000万円特別控除と10年超の軽減税率、相続した空き家の特例、建物の減価償却(取得費)、5%の概算取得費に対応。国税庁の記載例(事例2)の納税額も再現しています。

居住用財産の3,000万円特別控除と、10年超なら軽減税率を計算に入れます。住んでいた家であること、親族などへの売却でないこと、前年・前々年に同じ特例を使っていないことなどの要件は判定しません。

長期か短期かは、売った年の1月1日に所有期間が5年を超えているかで決まります(取得した年だけで決まります)。相続・贈与で取得した場合は、亡くなった方・贈与した方が取得した時期を入れます。

¥70,000,000
円

修繕費や固定資産税は譲渡費用になりません。

買ったとき(取得費)

円
円
もっと正確にする(ほかの所得・相続税の取得費加算・ローン)
円

相続した財産を相続税の申告期限から3年以内に売るときの取得費加算(措置法39条)は、国税庁の「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」で計算した額を入れます。空き家特例とは重ねて使えません。

¥0
円
円

ほかの所得があると、合計所得金額が増えて基礎控除が小さくなり、2,500万円を超えるとゼロになります。この判定には、3,000万円の特別控除を引く前の譲渡所得を使います(国税庁)。

円

売ったことで増える税金(目安)

¥618,100

売却益に対する税率の目安は約 1.8% です(譲渡所得に対する割合)。

所得税・復興特別所得税(確定申告で納めます)¥444,100
住民税(翌年度に市区町村から請求されます)¥174,000

手元に残るお金の目安

譲渡価額¥70,000,000
譲渡費用-¥2,400,000
増える税金-¥618,100
手元に残る額¥66,981,900

登記費用・引越し・買い替え費用などは含みません。

計算の内訳

長期譲渡所得(10年超のマイホーム)の軽減税率 — 6,000万円以下は所得税10%+住民税4%

譲渡価額¥70,000,000
取得費:土地¥15,000,000
取得費:建物の取得価額¥25,000,000
 建物の減価償却費相当額(鉄筋コンクリート造、償却率0.015、20年)-¥6,750,000
取得費(実額)-¥33,250,000
譲渡費用-¥2,400,000
譲渡所得(特別控除の前)¥34,350,000
特別控除(3,000万円または2,000万円が上限)-¥30,000,000
課税譲渡所得金額(1,000円未満切り捨て)¥4,350,000
所得税(譲渡所得の分)¥435,000
復興特別所得税(2.1%)¥9,135
住民税(譲渡所得の分)¥174,000

概算のシミュレーションです。令和8・9年に売る場合の、土地・建物の譲渡所得(分離課税)の所得税・復興特別所得税と住民税の目安です。所有期間は取得した年だけで判定し、土地と建物の取得時期は同じとしています。譲渡の時期は引渡し日(または契約日)で決まります。改良費・設備費の償却、買換えの特例、譲渡損失の損益通算、収用などの特例、配偶者控除などの人的控除の変動、住民税の調整控除、国民健康保険料・介護保険料・医療費の負担割合への影響は計算しません。建物の減価償却は月単位の概算で、実際の日付により1年ずれることがあります。税務・財務の専門的助言ではありません。実際の申告は、税務署または税理士にご確認ください。

計算の流れ

  1. 譲渡所得 = 譲渡価額 − 取得費 − 譲渡費用。土地や建物の譲渡所得は、給与など他の所得と分けて税額を計算します(分離課税)。
  2. 取得費は、土地は購入代金や購入手数料など、建物は購入代金などから「減価償却費相当額」を引いた額です。建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数で、償却率は構造ごとに決まっています。取得費が分からないとき、または実際の取得費が譲渡価額の5%に満たないときは、譲渡価額の5%を取得費にできます。
  3. マイホームを売るときは、譲渡所得から最高3,000万円を引けます(所有期間は問いません)。相続した空き家は、令和9年12月31日までの譲渡なら最高3,000万円(相続人が3人以上なら2,000万円)です。
  4. 売った年の1月1日に所有期間が5年を超えていれば長期(所得税15%・住民税5%)、5年以下なら短期(所得税30%・住民税9%)です。10年を超えるマイホームは、6,000万円までの部分が所得税10%・住民税4%の軽減税率になります。復興特別所得税は所得税額の2.1%です。
  5. ほかに給与や年金があるときは、基礎控除などの所得控除をまず総合課税の所得から引き、引ききれない分を譲渡所得から引きます。基礎控除は合計所得金額で決まり、この合計所得金額には、3,000万円の特別控除を引く前の譲渡所得が入ります。

具体例1:国税庁の記載例(事例2)を再現

国税庁「令和7年分 譲渡所得の申告のしかた」の事例2は、昭和61年3月に4,200万円(土地と建物の価額の区分なし)で買った鉄筋コンクリート造のマンション(80㎡)を、令和7年に69,000,000円で売ったケースです。建物の取得価額は標準的な建築価額(昭和61年・鉄筋コンクリート造 149,500円/㎡ × 80㎡ = 11,960,000円)、土地は30,040,000円。建物の減価償却費相当額は 11,960,000円 × 0.9 × 0.015 × 39年 = 6,296,940円で、取得費は35,703,060円になります。

項目金額
譲渡価額 − 取得費 − 譲渡費用(仲介手数料2,343,000円+印紙代30,000円)30,923,940円
3,000万円の特別控除−30,000,000円
長期譲渡所得(10年超の軽減税率が使える分)923,940円
課税される譲渡所得金額(1,000円未満切り捨て)× 10% = 所得税923,000円 → 92,300円
公的年金の雑所得58万円の分の所得税(基礎控除は合計所得が2,500万円を超えるため0円)27,250円
復興特別所得税(2.1%)2,510円
納める税金(所得税及び復興特別所得税、100円未満切り捨て)122,000円

国税庁の冊子が示す納める税金は122,000円で、このツールに同じ数字を入れると同じ額になります(「もっと正確にする」に、給与以外の所得金額58万円と社会保険料控除34,500円を入れる)。冊子は住民税を計算していません。

具体例2:同じ売却益でも、所有期間の数え方で税金は約2倍変わる

売却益(取得費・譲渡費用を引いた後)が3,000万円のとき、特別控除がない投資用の土地や建物では、2026年に売る場合、2021年4月に取得したものは短期で税金が11,889,000円、2020年12月に取得したものは長期で6,094,500円です(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)。長期か短期かは「売った日」ではなく「売った年の1月1日」の所有期間で決まり、取得した年だけで分かれます。2026年なら取得が2020年12月31日以前なら長期、2021年1月1日以後なら短期です(国税庁の冊子は、令和7年なら令和元年12月31日以前の取得が長期と説明しています)。

売却益3,000万円・ほかの所得なし(合計所得が2,500万円超で基礎控除なし)所得税+復興住民税合計
短期(2021年4月取得、2026年売却)9,189,000円2,700,000円11,889,000円
長期(2020年12月取得、2026年売却)4,594,500円1,500,000円6,094,500円

よくある質問

Q.「所有期間5年超」は売った日から数えるのですか?

いいえ。売った年の1月1日の時点で、取得の日の翌日から数えて5年を超えているかで決まります。たとえば2026年に売るなら、2020年12月31日までに取得したものが長期、2021年1月1日以後に取得したものは、売る月が12月でも短期です。10年超の軽減税率も同じで、2026年に売るなら2015年12月31日までに取得した居住用財産が対象です(国税庁 No.3202・No.3305)。

相続・贈与で取得したものは、亡くなった方・贈与した方が取得した日から数えます。このツールは、土地と建物の取得時期を同じとして計算します。売った年は、引渡しの日の年が原則で、納税者が選べば契約の日の年でも申告できます。取得した年ごとの早見表と、売る年が1年ずれたときの税額の差はガイドにまとめています。

Q.3,000万円の特別控除を使えば税金はゼロですか? 確定申告は必要ですか?

譲渡所得が3,000万円以下なら、譲渡所得は0円になり、税金はかかりません。ただし、この特例は確定申告で「適用を受ける」と書き、書類を添えて初めて使えます(租税特別措置法第35条第12項)。税金が0円でも申告が必要です。

マイホームを売って、新居で住宅ローン控除を受ける場合は、新居に入居した年とその前2年のうちに、または入居の翌年から3年目までのいずれかの年に、この特例や軽減税率の特例を使うと、住宅ローン控除が受けられません(国税庁 No.3302)。住宅ローン控除の計算は住宅ローン控除シミュレーションで確認できます。

Q.給与がある人は、家を売ると給与の税金も増えますか?

増えることがあります。基礎控除は合計所得金額で決まり、2,500万円を超えるとゼロです。この合計所得金額には、3,000万円の特別控除を引く前の譲渡所得が入ります(国税庁 事例2)。たとえば給与所得436万円の人が譲渡所得4,085万円のマイホームを売ると、特別控除で譲渡所得は1,085万円になりますが、合計所得金額は4,521万円になり、基礎控除がなくなって、給与などにかかる所得税と住民税が約16.6万円増えます(このツールの「もっと正確にする」で給与収入を入れると表示されます)。

Q.取得費が分からない・古いときはどうしますか? 建物の取得価額が分からないときは?

取得費が分からないとき、または実際の取得費が譲渡価額の5%より少ないときは、譲渡価額の5%を取得費にできます(国税庁 No.3258)。この場合、取得費の5%は建物の償却を引いた後の実額と比べて、大きいほうを使います。

土地と建物を一括で買って内訳が分からないときは、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」(昭和54年〜令和5年。昭和53年以前は国税庁ホームページ)で建物の取得価額を出し、残りを土地とする方法があります(事例2はこの方法です)。このツールの「土地と建物を一括で買って、内訳が分からない」を選ぶと計算します。

取得費が分からない古い家(5%)をマイホームの特例で売る場合、特別控除の3,000万円を超えて税金が出始めるのは、譲渡費用がないとして、売却価額が約3,157.9万円を超えるあたりです(31,579,000円までは税金が0円)。

Q.相続した家を売るとき、使える特例は?

亡くなった親などが一人で住んでいた昭和56年5月31日以前の建築の家(マンションなどの区分所有建物を除く)なら、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、耐震リフォームか取壊しをして売る、などの要件を満たすと、空き家の特例で譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上なら2,000万円)を引けます。令和9年12月31日までの譲渡が対象で、売却代金は1億円以下であることが必要です(国税庁 No.3306)。この特例は、10年超の軽減税率の特例の対象ではありません。

相続税を払った人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売るときは、払った相続税の一部を取得費に加算できます(取得費加算、国税庁 No.3267)。ただし、空き家の特例とは重ねて使えません。このツールでは、取得費加算は「もっと正確にする」に金額を入れる形で、要件の判定はしません。

Q.住民税はいつ、いくらかかりますか?

住民税は、長期が5%、短期が9%、10年超のマイホームの軽減税率が6,000万円までの部分で4%です(地方税法附則第34条・第34条の3・第35条)。売った年の翌年度に、市区町村から納税通知書が届きます。長期の5%は道府県民税2%と市町村民税3%(指定都市は1%と4%)の合計で、このツールは合計で計算します。国民健康保険税の算定には、特別控除を引いた後の長期譲渡所得が含まれます(地方税法附則第36条)。国民健康保険料・介護保険料・医療費の自己負担割合への影響は、このツールでは計算しません。

Q.譲渡損失(売って赤字)が出たら?

土地や建物の譲渡損失は、原則として給与など他の所得と損益通算できません。マイホームを売った場合の譲渡損失には、住宅ローンが残っているなど一定の要件で損益通算や繰越控除ができる特例があります(租税特別措置法第41条の5・第41条の5の2、国税庁の「申告のしかた」参考1)。このツールは、損失が出たときは「譲渡損失」とだけ表示し、特例の計算はしません。

Q.令和9年以降に売ると、税率は変わりますか?

所得税の税率(長期15%・短期30%・軽減税率)と住民税の税率は、このツールが対象にしている令和8年・9年で変わりません。復興特別所得税は、令和9年1月1日以後に生ずる所得から、復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に分かれますが、合計は2.1%のままです(国税庁の令和8年5月のQ&A)。令和10年以降の売却は、毎年の税制改正の確認が必要なので選べません。

出典