土地や建物を売った利益(譲渡所得)の税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。5年を超えていれば長期で所得税15%・住民税5%、5年以下なら短期で所得税30%・住民税9%です(復興特別所得税は別)。この「5年」は、売った日から数えるのではなく、売った年の1月1日の時点で数えます(国税庁 No.3202)。そのため、取得した年だけで分かれ、売る月は関係ありません。
この記事は、取得した年ごとの早見表と、売る年が1年ずれたときの税額の差を、国税庁の資料と条文から、本サイトの計算エンジンで求めたものです。たとえば、売却益3,000万円の投資用の土地を2021年4月に取得した場合、2026年に売ると税金は11,889,000円、2027年に売ると6,094,500円で、差は5,794,500円です。
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「5年超」「10年超」の数え方
- 長期(5年超)か短期(5年以下)かは、売った年の1月1日に、取得の日の翌日から数えて所有期間が5年を超えているかで決まります(租税特別措置法第31条・第32条、国税庁 No.3202)。
- 居住用財産(マイホーム)の軽減税率(6,000万円までの部分が所得税10%・住民税4%)は、売った年の1月1日に所有期間が10年を超えている場合です(措置法第31条の3、国税庁 No.3305)。
- 相続や贈与で取得したものは、亡くなった方・贈与した方が取得した日から数えます(国税庁 No.3202)。
- 居住用財産の3,000万円の特別控除は、所有期間が長くても短くても使えます。10年超かどうかで変わるのは、控除を引いた後の税率です(国税庁 No.3302)。
国税庁の「令和7年分 譲渡所得の申告のしかた」は、令和7年に売る場合、令和元年12月31日以前に取得したものが長期、平成26年12月31日以前に取得した居住用財産が10年超の対象と説明しています。取得した年が「売る年 − 6年」以前なら長期、「売る年 − 11年」以前なら10年超、ということで、毎年1年ずつずれます。
取得した年ごとの早見表
売った年(引渡しの日の年)に応じて、所有期間の区分を並べました。「5年以下」は短期、「5年超」は長期(一般)、「10年超」は長期で、居住用財産なら軽減税率の対象です。
| 取得した年 | 2026年に売る | 2027年に売る | 2028年に売る | 長期になる最初の年 | 10年超になる最初の年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2014年 | 10年超 | 10年超 | 10年超 | 2020年 | 2025年 |
| 2015年 | 10年超 | 10年超 | 10年超 | 2021年 | 2026年 |
| 2016年 | 5年超 | 10年超 | 10年超 | 2022年 | 2027年 |
| 2019年 | 5年超 | 5年超 | 5年超 | 2025年 | 2030年 |
| 2020年 | 5年超 | 5年超 | 5年超 | 2026年 | 2031年 |
| 2021年 | 5年以下 | 5年超 | 5年超 | 2027年 | 2032年 |
| 2022年 | 5年以下 | 5年以下 | 5年超 | 2028年 | 2033年 |
「長期になる最初の年」は、取得した年の6年後の1月1日から売った場合です。取得が2021年(月は関係なし)なら、2026年に売ると、売った月が12月でも短期のままで、2027年1月1日以後に売ると長期になります。
例1:投資用の土地、売却益3,000万円
取得費3,000万円の土地を6,000万円で売り、売却益が3,000万円の場合です(特別控除なし、給与などほかの所得なし、基礎控除は合計所得が2,500万円を超えるため0円)。2021年4月に取得したものです。
| 売った年 | 区分 | 所得税+復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 短期(5年以下) | 9,189,000円 | 2,700,000円 | 11,889,000円 |
| 2027年 | 長期(5年超) | 4,594,500円 | 1,500,000円 | 6,094,500円 |
2026年に売ると11,889,000円で、売却益の約39.6%が税金になります。2027年に売ると6,094,500円で、約20.3%です。差は5,794,500円です。2021年4月に取得したものは、2026年はまだ「売った年の1月1日に所有期間が5年を超えていない」ため短期で、2027年1月1日には超えます。
例2:マイホーム、譲渡所得5,000万円(3,000万円の特別控除を使う)
取得費1,800万円のマイホーム(2016年4月取得)を6,800万円で売り、譲渡所得が5,000万円の場合です。3,000万円の特別控除を引いた2,000万円に税金がかかります(ほかの所得なし)。
| 売った年 | 区分 | 所得税+復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 長期(5年超、10年超ではない) | 3,063,000円 | 1,000,000円 | 4,063,000円 |
| 2027年 | 長期(10年超)の軽減税率 | 2,042,000円 | 800,000円 | 2,842,000円 |
2016年4月の取得は、2026年の1月1日には所有期間が9年9か月で10年を超えていませんが、2027年の1月1日には10年9か月になり超えます(2016年中の取得なら、何月でも同じ結果です)。2,000万円は6,000万円以下なので、2027年は所得税10%・住民税4%の軽減税率で2,842,000円、2026年は15%・5%で4,063,000円です。差は1,221,000円です。
「売った年」はどう決まるか:引渡しの日が原則、契約の日も選べる
1月1日で数える以上、「売った年」がいつの年かが大事です。譲渡所得をいつの年の所得にするかは、所得税基本通達36-12が決めています。原則は、資産の引渡しがあった日です。ただし、納税者の選択により、売買契約の効力が生じた日(契約日)の属する年の所得として申告することも認められています。
- 「引渡し」は、物を渡すという形式ではなく、当事者間で資産の支配が移った事実(土地なら、所有権移転登記に必要な書類の交付など)で判定します。原則として、譲渡代金の決済が終わった日より後にはなりません(通達36-12の注、国税庁の確定申告書等作成コーナーの説明)。
- 契約を12月に結び、決済・引渡しが翌年1月になる場合は、原則どおりなら翌年の売却、契約日を選べば12月の年の売却になります。上の例1・例2のように、売った年によって区分が変わる場合は、どちらの年にするかで税額が変わります。
- 引渡しは、実際の決済や書類の交付で決まる事実です。契約書の日付だけを動かしても、その日が引渡しの日になるわけではありません。
- 取得の日も、他から取得した資産は、通達36-12に準じて判定します(所得税基本通達33-9)。
この記事に入っていないこと
- 取得費・譲渡費用・建物の減価償却、5%の概算取得費、相続した空き家の特例、基礎控除の扱いは、計算ツールで扱います。この記事の例では、すべて取得費は実額、建物なし(土地のみ)としています。
- 売った年がずれる間の、売却代金の使い道、買い替えの時期、物件の価格や市場の変化は考えていません。税金の差だけを見たものです。
- 2028年以降の売却は、税制改正の影響があり得るため、税率までは確認していません(所有期間の数え方は、条文のとおり同じです)。
- 土地と建物の取得時期が違う場合(建物の建築が後など)や、共有、借地権などは扱っていません。
一般的な情報であり、専門的助言ではありません。この記事は、2026年10月13日時点の内容です。
出典
- 国税庁 — No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)(長期と短期の区分、所有期間の数え方、相続・贈与で取得したときの取得の日)
- 国税庁 — No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例(売った年の1月1日に所有期間が10年超、軽減税率の表)
- 国税庁 — 令和7年分 譲渡所得の申告のしかた(参考1「令和7年に売る場合は令和元年12月31日以前の取得が長期」「平成26年12月31日以前の取得が10年超」)
- 国税庁 — 所得税基本通達 36-12(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期。引渡しがあった日、納税者の選択で契約の効力発生の日)
- 国税庁 — 確定申告書等作成コーナー よくある質問「譲渡所得の申告時期」(引渡しがあった日の判定、譲渡代金の決済が終わった日より後にはならない)
- 国税庁 — 所得税基本通達 33-9(資産の取得の日。他から取得した資産は36-12に準じて判定)
- e-Gov法令検索 — 租税特別措置法(第31条第1項・第2項 長期譲渡所得と所有期間、第31条の3 居住用財産の軽減税率、第32条 短期譲渡所得)