不動産の所有期間「5年超・10年超」は、売った年の1月1日で数える:取得した年ごとの早見表と、売る年が1年ずれたときの税額の差

土地・建物の譲渡所得が長期(税率が約半分)になるのは、売った年の1月1日に所有期間が5年を超えているときで、取得した年だけで決まります。2026年に売るなら2020年12月31日以前の取得、2027年に売るなら2021年12月31日以前の取得です。売った年は、引渡しの日が原則で、納税者が選べば契約の効力発生日の年でも申告できます(所得税基本通達36-12)。売却益3,000万円の投資用の土地(2021年4月取得)は、2026年の売却なら短期で税金が11,889,000円、2027年なら長期で6,094,500円(差5,794,500円)。2016年取得のマイホームで譲渡所得5,000万円、3,000万円の特別控除を使うと、2026年は4,063,000円、10年超になる2027年は軽減税率で2,842,000円(差1,221,000円)です。国税庁の資料と条文から、本サイトの計算エンジンで求めました。

公開日 2026年10月13日

出典の確認・検証・訂正について

土地や建物を売った利益(譲渡所得)の税率は、所有期間が5年を超えるかどうかで大きく変わります。5年を超えていれば長期で所得税15%・住民税5%、5年以下なら短期で所得税30%・住民税9%です(復興特別所得税は別)。この「5年」は、売った日から数えるのではなく、売った年の1月1日の時点で数えます(国税庁 No.3202)。そのため、取得した年だけで分かれ、売る月は関係ありません。

この記事は、取得した年ごとの早見表と、売る年が1年ずれたときの税額の差を、国税庁の資料と条文から、本サイトの計算エンジンで求めたものです。たとえば、売却益3,000万円の投資用の土地を2021年4月に取得した場合、2026年に売ると税金は11,889,000円、2027年に売ると6,094,500円で、差は5,794,500円です。

自分の取得した年と売る年で計算したい場合は、不動産売却の税金(譲渡所得税)シミュレーションをご利用ください。

「5年超」「10年超」の数え方

  • 長期(5年超)か短期(5年以下)かは、売った年の1月1日に、取得の日の翌日から数えて所有期間が5年を超えているかで決まります(租税特別措置法第31条・第32条、国税庁 No.3202)。
  • 居住用財産(マイホーム)の軽減税率(6,000万円までの部分が所得税10%・住民税4%)は、売った年の1月1日に所有期間が10年を超えている場合です(措置法第31条の3、国税庁 No.3305)。
  • 相続や贈与で取得したものは、亡くなった方・贈与した方が取得した日から数えます(国税庁 No.3202)。
  • 居住用財産の3,000万円の特別控除は、所有期間が長くても短くても使えます。10年超かどうかで変わるのは、控除を引いた後の税率です(国税庁 No.3302)。

国税庁の「令和7年分 譲渡所得の申告のしかた」は、令和7年に売る場合、令和元年12月31日以前に取得したものが長期、平成26年12月31日以前に取得した居住用財産が10年超の対象と説明しています。取得した年が「売る年 − 6年」以前なら長期、「売る年 − 11年」以前なら10年超、ということで、毎年1年ずつずれます。

取得した年ごとの早見表

売った年(引渡しの日の年)に応じて、所有期間の区分を並べました。「5年以下」は短期、「5年超」は長期(一般)、「10年超」は長期で、居住用財産なら軽減税率の対象です。

取得した年2026年に売る2027年に売る2028年に売る長期になる最初の年10年超になる最初の年
2014年10年超10年超10年超2020年2025年
2015年10年超10年超10年超2021年2026年
2016年5年超10年超10年超2022年2027年
2019年5年超5年超5年超2025年2030年
2020年5年超5年超5年超2026年2031年
2021年5年以下5年超5年超2027年2032年
2022年5年以下5年以下5年超2028年2033年

「長期になる最初の年」は、取得した年の6年後の1月1日から売った場合です。取得が2021年(月は関係なし)なら、2026年に売ると、売った月が12月でも短期のままで、2027年1月1日以後に売ると長期になります。

例1:投資用の土地、売却益3,000万円

取得費3,000万円の土地を6,000万円で売り、売却益が3,000万円の場合です(特別控除なし、給与などほかの所得なし、基礎控除は合計所得が2,500万円を超えるため0円)。2021年4月に取得したものです。

売った年区分所得税+復興特別所得税住民税合計
2026年短期(5年以下)9,189,000円2,700,000円11,889,000円
2027年長期(5年超)4,594,500円1,500,000円6,094,500円

2026年に売ると11,889,000円で、売却益の約39.6%が税金になります。2027年に売ると6,094,500円で、約20.3%です。差は5,794,500円です。2021年4月に取得したものは、2026年はまだ「売った年の1月1日に所有期間が5年を超えていない」ため短期で、2027年1月1日には超えます。

例2:マイホーム、譲渡所得5,000万円(3,000万円の特別控除を使う)

取得費1,800万円のマイホーム(2016年4月取得)を6,800万円で売り、譲渡所得が5,000万円の場合です。3,000万円の特別控除を引いた2,000万円に税金がかかります(ほかの所得なし)。

売った年区分所得税+復興特別所得税住民税合計
2026年長期(5年超、10年超ではない)3,063,000円1,000,000円4,063,000円
2027年長期(10年超)の軽減税率2,042,000円800,000円2,842,000円

2016年4月の取得は、2026年の1月1日には所有期間が9年9か月で10年を超えていませんが、2027年の1月1日には10年9か月になり超えます(2016年中の取得なら、何月でも同じ結果です)。2,000万円は6,000万円以下なので、2027年は所得税10%・住民税4%の軽減税率で2,842,000円、2026年は15%・5%で4,063,000円です。差は1,221,000円です。

「売った年」はどう決まるか:引渡しの日が原則、契約の日も選べる

1月1日で数える以上、「売った年」がいつの年かが大事です。譲渡所得をいつの年の所得にするかは、所得税基本通達36-12が決めています。原則は、資産の引渡しがあった日です。ただし、納税者の選択により、売買契約の効力が生じた日(契約日)の属する年の所得として申告することも認められています。

  • 「引渡し」は、物を渡すという形式ではなく、当事者間で資産の支配が移った事実(土地なら、所有権移転登記に必要な書類の交付など)で判定します。原則として、譲渡代金の決済が終わった日より後にはなりません(通達36-12の注、国税庁の確定申告書等作成コーナーの説明)。
  • 契約を12月に結び、決済・引渡しが翌年1月になる場合は、原則どおりなら翌年の売却、契約日を選べば12月の年の売却になります。上の例1・例2のように、売った年によって区分が変わる場合は、どちらの年にするかで税額が変わります。
  • 引渡しは、実際の決済や書類の交付で決まる事実です。契約書の日付だけを動かしても、その日が引渡しの日になるわけではありません。
  • 取得の日も、他から取得した資産は、通達36-12に準じて判定します(所得税基本通達33-9)。
どちらの年で申告するかは、ほかの要件にも影響します。たとえば、マイホームの特例(3,000万円の特別控除)には、売った年の前年・前々年に同じ特例を使っていないことなどの要件があり、売った年がずれると判定も変わります。個別の事情は、税務署または税理士に確認してください。

この記事に入っていないこと

  • 取得費・譲渡費用・建物の減価償却、5%の概算取得費、相続した空き家の特例、基礎控除の扱いは、計算ツールで扱います。この記事の例では、すべて取得費は実額、建物なし(土地のみ)としています。
  • 売った年がずれる間の、売却代金の使い道、買い替えの時期、物件の価格や市場の変化は考えていません。税金の差だけを見たものです。
  • 2028年以降の売却は、税制改正の影響があり得るため、税率までは確認していません(所有期間の数え方は、条文のとおり同じです)。
  • 土地と建物の取得時期が違う場合(建物の建築が後など)や、共有、借地権などは扱っていません。

一般的な情報であり、専門的助言ではありません。この記事は、2026年10月13日時点の内容です。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。