産休・育休中の手取りは、普段の何割? 出産手当金・育児休業給付金を月給別に比べる(令和8年8月〜)

月給30万円の人は、産休中の出産手当金が30日で200,010円。非課税で社会保険料も免除されますが、住民税は払い続けるため、使えるお金は普段の手取りの約78%。育休は最初の6か月が約79%、7か月目以降は約57%、出生後休業支援給付金がつく28日間は約95%で、「手取り10割」までは届きません。月給が約49.6万円を超えると育休の給付は上限で頭打ちになり、出産手当金は上限が遠いため、月給60万円・80万円の人は育休で大きく下がります。月給別に、本サイトの計算エンジンで比べました。

公開日 2026年10月10日

出典の確認・検証・訂正について

産休中にもらえる出産手当金と、育休中にもらえる育児休業給付金は、どちらも非課税で、休んでいる間は社会保険料が免除されます。それでも、使えるお金は普段の手取りより減ります。この記事は、本サイトの計算エンジンで、月給別に「普段の月の手取りの何割になるか」を比べたものです。

結論から言うと、月給30万円(30歳・独身・賞与なし)の人は、普段の月の手取りが239,404円です。産休中は、出産手当金が30日で200,010円、そこから住民税の月割り12,750円を払うと187,260円で、普段の約78%です。育休は、最初の6か月が約79%(188,250円)、7か月目以降は約57%(137,250円)、出生後休業支援給付金がつく最大28日間は約95%(227,250円)です。

自分の月給と日付で計算したい場合は、出産手当金・傷病手当金の計算シミュレーションと育児休業給付金の計算シミュレーションをご利用ください。

月給別の「使えるお金」と、普段の手取りに対する割合

「使えるお金」は、手当金・給付金から住民税の月割りを引いた額です。所得税と社会保険料は、手当金が非課税で保険料が免除されるため、かかりません。割合は、普段の月の手取り(住民税を引いたあと)に対する割合です。月給50万円までは、出産手当金と、育児休業給付金の最初の6か月(67%)は、ほぼ同じ割合になります。

月給(賞与除く)普段の月の手取り産休中(出産手当金)育休 最初の6か月(67%)育休 7か月目以降(50%)出生後休業支援給付金の28日間(80%)
15万円124,469円96,532円(78%)97,042円(78%)71,542円(57%)116,542円(94%)
20万円162,477円126,194円(78%)126,770円(78%)92,774円(57%)152,768円(94%)
25万円200,940円163,417円(81%)157,510円(78%)115,012円(57%)190,009円(95%)
30万円239,404円187,260円(78%)188,250円(79%)137,250円(57%)227,250円(95%)
40万円314,833円254,115円(81%)248,718円(79%)180,720円(57%)300,717円(96%)
50万円388,177円307,582円(79%)306,646円(79%)222,292円(57%)371,152円(96%)
60万円453,139円360,557円(80%)299,621円(66%)215,267円(48%)364,127円(80%)
80万円583,804円476,407円(82%)282,271円(48%)197,917円(34%)346,777円(59%)
前提:30歳・独身(扶養なし)・賞与なし。月給(残業代・通勤手当を含む総支給額)が前年も今年も同じ。1か月は30日として換算(1日あたりの額×30)。普段の月の手取りは本サイトの月給・賞与手取り計算の値(住民税を月割りで引いたあと)。休業中の「使えるお金」は、手当金から住民税の月割りだけを引いた額です。いずれも目安です。

なぜ約8割になるのか:普段の月の差し引きと、休業中の差し引き

月給30万円の普段の月は、額面300,000円から、社会保険料44,145円、所得税(復興特別所得税を含む)3,701円、住民税12,750円が引かれて、手取りが239,404円です。額面の約80%が手元に残ります。

産休中は、出産手当金が標準報酬日額の3分の2(標準報酬月額300,000円なら1日6,667円、30日で200,010円)で、額面の約67%です。引かれるものは、住民税だけです。出産手当金は租税の対象になりません(健康保険法第62条)。産前産後休業中の健康保険料・厚生年金保険料は、事業主が申し出ると、本人と事業主の分がどちらも免除されます(日本年金機構、第159条の3)。そのため、額面の差(3分の1)より、手取りの差は小さくなり、187,260円(普段の約78%)になります。

住民税が残る理由は、住民税が前年の所得をもとに決まる税金だからです。休む前の年に給与があれば、休んでいる間も、月々の住民税の請求は続きます。給与がなければ給与から天引きする方法(特別徴収)が使えず、自分で納める方法(普通徴収)に切り替わることがあります(切り替えの扱いは、勤務先・自治体に確認してください)。住民税が前年の所得で決まる仕組みは、住民税はなぜ前年の所得で決まるのかで詳しく書いています。

育休の給付は、最初の6か月と7か月目以降で、割合が大きく変わる

育児休業給付金は、休業を始めてから通算180日目までは賃金日額の67%、181日目からは50%です。月給30万円なら、1か月(30日)あたり201,000円から150,000円に下がります。住民税を払ったあとの使えるお金で比べると、普段の手取りの約79%から約57%への低下です。6か月の育休と、1年の育休では、後半の6か月の家計が前半よりかなり厳しくなります。

月ごとの金額と、月の途中で180日目になるときの日割りは、育児休業給付金はいくら?月給別の早見表にまとめました。

「手取り10割」は本当か:出生後休業支援給付金の28日間

出生後休業支援給付金がつくと、最大28日間は、育児休業給付金と合わせて賃金日額の80%になります。厚生労働省は、80%を「手取り10割相当」と説明しています(Q&A Q40)。本サイトのエンジンで確かめると、月給30万円の80%(240,000円)は、普段の月の手取り(239,404円)とほぼ同じ額で、割合にして100%です。月給30万円では、「手取り10割」はこの比較と合っています。

ただし、休業中も住民税は払い続けます。住民税の月割り12,750円を引くと、使えるお金は227,250円で、普段の約95%です(月給50万円までは、いずれも94%〜96%)。厚生労働省の説明の細かい前提は確認していないので、「10割」が間違っているという意味ではありません。ここで言えるのは、住民税の支払いが続くことを考えると、本サイトの計算では、使えるお金は普段の9割台半ばになる、ということです。

出生後休業支援給付金がつく日数は、最大28日です。この表の80%の列は、その28日間の1か月(30日)換算です。要件(両親ともに14日以上の育休など)は、育児休業給付金の計算シミュレーションで確かめられます。

月給が高い人ほど、育休で大きく下がる

育児休業給付金には、休業開始時賃金日額の上限(16,540円。月給にすると約49.6万円)があります。月給が約49.6万円を超えると、給付は1か月332,454円(67%)・248,100円(50%)で止まります。一方、出産手当金は、標準報酬月額の上限が139万円と高く、月給が高くても、額は標準報酬月額に比例して増えます。

この差が、月給60万円と80万円の行に出ています。月給60万円の人は、産休中は普段の約80%(360,557円)ですが、育休の最初の6か月は約66%(299,621円)、7か月目以降は約48%(215,267円)です。月給80万円の人は、産休中の約82%に対して、育休の最初の6か月は約48%、7か月目以降は約34%まで下がります。産休から育休に切り替わる月に、大きな段差ができる人がいる、ということです。

産休と育休は、どこで切り替わるか

出産手当金の対象は、出産の日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産の日後56日までの、休んで給与が出なかった日です(健康保険法第102条)。産後の56日が終わった翌日(出産日から数えて57日後)から育児休業に入る場合、その休業に育児休業給付金が支給されます。切り替わりの日の目安は、出産手当金の計算シミュレーションに出産予定日を入れると、産後の最後の日として表示されます。

この比較に入っていないこと

  • 賞与です。標準報酬月額には、賞与(3か月を超える期間ごとに受けるもの)は含まれません(健康保険法第3条)。育児休業給付金の賃金日額も賞与を除きます。賞与の割合が大きい人は、手当金・給付金が月給から想像するより少なくなります。
  • 配偶者・子の扶養、通勤手当の非課税分、住民税の特別徴収から普通徴収への切り替えの時期、会社独自の上乗せ(付加給付)や、休業中に会社から出る給与です。普段の手取りは「30歳・独身・扶養なし」の目安で、家族がいる人は税額が違います。
  • 手当金は、カレンダー上の月の日数(28〜31日)で日割りされるため、月によって額が変わります。この記事は1か月=30日で換算しました。
  • 社会保険料の免除には、事業主の申出が必要です(日本年金機構)。免除される月は、休業を始めた月から、休業が終わる日の翌日が属する月の前月までで、月の途中で始まる・終わる休業では、免除にならない月もあります。
  • 出産育児一時金(1児につき50万円。協会けんぽ)は、この比較に入れていません。傷病手当金は別の手当金で、同じ期間に出産手当金とは重複して受けられません(健康保険法第103条)。

一般的な情報であり、専門的助言ではありません。実際の支給額は、協会けんぽ(または健康保険組合)・ハローワークの決定にもとづきます。金額の上限・下限は、毎年8月1日(雇用保険)と4月(協会けんぽの保険料率)などに変わります。この記事は、2026年10月10日時点の内容です。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。