会社員の給与明細には、所得税と住民税が並んでいます。ところが2つは仕組みが違い、所得税がその年の所得に応じて決まるのに対して、住民税は前年の所得で決まります。この時間差のせいで、新社会人は2年目に手取りが減ったように感じ、会社を辞めた年は収入が減っているのに住民税の負担は変わらない、ということが起こります。この記事では、その仕組みを、月給25万円の新社会人などの例で計算して確かめます。
住民税の基本ルール
- 前年の所得で決まる:所得割の税率は10%(道府県民税4%・市町村民税6%)で、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます(総務省)。
- 1月1日にお住まいの自治体に納める:東京都主税局の説明では、1月1日現在に都内に住所がある人が課税対象です。
- 会社員は給与から天引き:会社が個人住民税を給与から天引きして納める「特別徴収」が原則で、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます(総務省、東京都主税局)。
つまり、令和9年6月から始まる住民税は、令和8年1月〜12月の所得で決まります。所得税のように、今年の稼ぎを今年の税額に反映する仕組みではありません。
例1:新社会人の1年目と2年目
4月に入社し、月給25万円(額面)、賞与や昇給はないと仮定します。入社した年の所得は4〜12月の9か月分です。本サイトの計算エンジンで住民税を出すと、次のとおりです(年齢は22〜23歳)。
| 給与から天引きされる期間 | 基準となる所得 | 住民税(年額) | 月額の目安 |
|---|---|---|---|
| 入社した年(1年目) | 学生時代(前年)の所得 | 前年の所得しだい | — |
| 2年目の6月〜翌5月 | 入社した年の所得(¥2,250,000、9か月分) | ¥78,300 | ¥6,525 |
| 3年目の6月〜翌5月 | 2年目の所得(¥3,000,000、12か月分) | ¥119,800 | ¥9,983 |
1年目は前年の所得(学生時代のアルバイト収入など)に応じた額なので、入社したばかりの給与からは、給料に見合った住民税は引かれません。2年目の6月に初めて社会人の所得にもとづく住民税が始まり、月額は約¥6,525になります。しかも、この額は9か月分の所得で決まっています。3年目の6月には12か月分の所得が基準になるため、給料も昇給もそのままなのに月額が約¥9,983へと53%ほど増えます。住民税が本来の水準になるまで、2〜3年かかる計算です。
例2:前年の年収で、今年6月からの住民税はこう決まる
昇給や転職があると、住民税の反映は翌年になります。前年の年収別に、今年6月から翌年5月までの住民税を並べると次のとおりです。
| 前年の額面年収 | 住民税(年額) | 月額の目安 |
|---|---|---|
| ¥3,000,000 | ¥119,800 | ¥9,983 |
| ¥4,000,000 | ¥179,100 | ¥14,925 |
| ¥5,000,000 | ¥244,400 | ¥20,367 |
| ¥6,000,000 | ¥309,700 | ¥25,808 |
| ¥8,000,000 | ¥456,100 | ¥38,008 |
たとえば前年の年収が500万円なら、今年6月から翌年5月まで毎月約¥20,367が天引きされます。今年、昇給して年収が上がっても、その分の住民税が増えるのは来年の6月からです。
例3:退職して収入が減った(なくなった)年
前年に年収500万円あった人が、今年の途中で退職して収入が大きく減っても、今年度の住民税は前年の所得をもとに決まります。東京都主税局によると、年の途中で退職して特別徴収ができなくなった残りの住民税は、区市町村から送られてくる納税通知書で納めます(普通徴収)。普通徴収は年4回に分けて納める方法です。前年の年収が500万円の場合、年額はおよそ¥244,400なので、退職後も、この水準の住民税の支払いが残る可能性があります。退職を考えるときは、手取りだけでなく、あとから来る住民税の納付も見込んでおきましょう。
本サイトの住民税計算との関係
住民税計算シミュレーションは、「今年の年収が続いた場合」の住民税の目安を、同じ年の所得で計算します。実際の住民税は前年の所得で決まるため、収入が変わった年や、社会人になって間もない年は、ツールの結果と実際の天引き額のタイミングがずれます。年収が毎年ほぼ同じなら、ツールの結果は実際の年額のよい目安になります。