個人事業主の消費税シミュレーション(2割特例・3割特例・簡易課税・原則課税の納付額を比較)

インボイスを登録した個人事業主の消費税・地方消費税の納付額を、原則課税・簡易課税・2割特例(令和8年分まで)・3割特例(令和9・10年分)で比べて無料で計算。売上と仕入れから、いちばん小さい方法と、原則課税が有利になる分かれ目がわかります。

円
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家賃(住居)・給与・保険料・税金・利子など消費税がかからない支出は含めません。原則課税のときだけ、この金額を使います。

軽減税率(8%)の売上・仕入れがある

1,000万円以下なら、登録していなければ免税事業者です。5,000万円を超えると簡易課税は使えません。免税事業者だった期間の売上は、税抜きにせずそのまま入れます(国税庁)。

納付する消費税・地方消費税の目安(令和9年分、いちばん小さい方法)

¥180,000

3割特例で計算したときです。 国税の売上税額(¥468,000)に対する納付の割合は30.0%です。

方法ごとの納付額

方法納付額(国税+地方消費税)
登録せず免税事業者のまま使えません:インボイス発行事業者の登録をしているため、免税事業者にはなれません(登録を取りやめる手続きが必要です)。—
原則課税¥500,000¥390,000 + ¥110,000
簡易課税(第5種・50%)¥300,000¥234,000 + ¥66,000
2割特例使えません:2割特例は令和8年分(2026年分)までです。—
3割特例いちばん小さい¥180,000¥140,400 + ¥39,600

国税の売上税額は¥468,000です(課税標準額は千円未満切捨て、税率7.8%・軽減6.24%)。地方消費税は納付する国税の22/78です。免税事業者のままの行は、登録しない場合の比較で、インボイスを出せない点は反映していません。

原則課税が有利になる分かれ目

売上の消費税額(¥468,000)に対して、仕入れの消費税額は¥78,000(16.7%)です。

  • 3割特例より原則課税が有利になるのは、この割合が70%を超えるとき。
  • 簡易課税(第5種)より原則課税が有利になるのは、この割合が50%を超えるとき。
  • 3割特例(控除70%)と簡易課税(第5種・控除50%)では、控除の割合が大きい3割特例のほうが納付が小さくなります。

原則課税は、仕入れの消費税額が売上の消費税額を上回ると還付になります。簡易課税と特例は還付になりません(国税庁Q&A 問117-3)。

手続きのメモ

  • 2割特例・3割特例は、事前の届出は要りません。消費税の確定申告書にその旨を書くだけで使えます。毎年、使うかどうかを選べます。
  • 簡易課税は、使いたい年の前年の12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出すのが原則です。2割特例・3割特例を使った年の翌年は、その翌年分の確定申告の期限までに出せば、翌年から簡易課税にできます(国税庁)。
  • 原則課税は、仕入れのインボイスと帳簿の保存が必要です。2割特例・3割特例・簡易課税は、仕入れの消費税額を計算する必要がありません。

概算のシミュレーションです。消費税法・地方税法と国税庁の申告書の計算順序(課税標準額は千円未満切捨て、差引税額は百円未満切捨て、地方消費税は国税の22/78)にしたがって計算します。事業区分が2つ以上ある場合、売上や仕入れを請求書ごとに積み上げる計算、免税事業者などインボイスのない仕入れの経過措置(70%・50%・30%控除)、課税売上割合が95%未満または課税売上高5億円超の場合、調整対象固定資産・高額特定資産、売上の返品・値引き、中間申告は扱いません。3割特例の申告書の様式と端数処理は、2割特例と同じと仮定しています。実際の納付額は、申告書の作成コーナーなどで確認してください。税務・法律の専門的助言ではありません。

計算の流れ

  1. 売上(税込)に100/110(軽減税率は100/108)を掛けて税抜にし、千円未満を切り捨てた額が「課税標準額」です。これに7.8%(軽減税率は6.24%)を掛けた額が、売上に係る消費税額(国税)です。
  2. 原則課税は、課税仕入れの消費税額(税込の支払額×7.8/110、軽減税率は×6.24/108)を、売上の消費税額から引きます。簡易課税は、売上の消費税額に「みなし仕入率」(事業区分ごとに90〜40%)を掛けた額を引きます。
  3. 2割特例は80%、3割特例は70%を引きます。つまり、納付する消費税は売上の消費税額の2割(令和8年分まで)または3割(令和9年分・令和10年分)です。
  4. 引いた残りを百円未満切り捨てにしたものが、納付する消費税(国税)です。これに22/78を掛けた額(百円未満切り捨て)が地方消費税で、合わせて納付します。原則課税で残りがマイナスなら還付です。

具体例:売上(税抜)600万円・サービス業(第5種)の令和9年分

インボイスを登録した個人事業主で、基準期間(2年前)の課税売上高も600万円とします。課税仕入れ(税抜)が変わると、納付する消費税と地方消費税の合計は次のようになります。売上の消費税額(国税)は¥468,000です。

課税仕入れ(税抜)原則課税簡易課税(第5種)3割特例
¥0¥600,000¥300,000¥180,000
¥1,000,000¥500,000¥300,000¥180,000
¥3,000,000¥300,000¥300,000¥180,000
¥4,200,000(売上の70%)¥180,000¥300,000¥180,000
¥5,000,000¥100,000¥300,000¥180,000
¥7,000,000還付 ¥100,000¥300,000¥180,000

3割特例と簡易課税は仕入れの金額に関係なく¥180,000・¥300,000で、原則課税は仕入れの消費税額が売上の消費税額の70%(3割特例)または50%(第5種の簡易課税)を超えるまでは、それより大きくなります。仕入れが売上の70%を超える年は原則課税のほうが小さく、仕入れが売上より多い年は還付になります(簡易課税と特例は還付にならない)。

同じ売上・同じ区分でも、令和8年分は2割特例なので納付は¥120,000、令和9年分は3割特例で¥180,000です。2割から3割に変わる分、納付額は1.5倍になります。

よくある質問

Q.3割特例とは何ですか? いつまでですか?

2割特例(令和8年9月30日までの日を含む課税期間まで)の終了に合わせて、令和8年度税制改正で新しくできた、個人事業者だけの経過措置です。令和9年分と令和10年分の消費税の確定申告で、納付する税額を売上に係る消費税額の3割にできます(売上税額の70%を、仕入れに係る消費税額とみなして引く)。

主な要件は、個人事業者であること、インボイス発行事業者の登録を受けていること、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることです。令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年の課税売上高で見ます。法人は使えません。事前の届出は要らず、確定申告書にその旨を書くだけです(国税庁)。

Q.2割特例は、いつまでですか? 令和9年からはどうなりますか?

2割特例は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む課税期間で使えます。暦年で申告する個人事業者は、令和8年分(2026年1月〜12月)が最後です(国税庁)。

令和9年分・令和10年分は、要件を満たせば3割特例が使えます。使わない場合や使えない場合は、原則課税か、届出をした簡易課税で申告します。令和11年分(2029年分)以降は特例がありません。

Q.簡易課税にしたいときの届出は、いつまでですか?

原則は、簡易課税を使いたい年の前年の12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出します。免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受けた年は、その年の12月31日までに出せば、その年から使えます。

2割特例または3割特例を使った年の翌年は、その翌年分の確定申告の期限までに届出書を出せば、翌年から簡易課税にできる特例があります(国税庁。その翌年の課税期間が令和8年10月1日以後に終了する場合)。たとえば令和8年分で2割特例を使った人が令和9年分から簡易課税にするなら、令和9年分の確定申告の期限(2028年3月31日)までです。簡易課税は、選んだら原則2年間は続ける必要があります。基準期間の課税売上高が5,000万円を超えると使えません。

Q.インボイスの登録をしないと、どうなりますか?

基準期間の課税売上高が1,000万円以下で、登録もしていなければ、免税事業者です。消費税の申告も納付もありません(消費税法第9条)。ただし、インボイスを出せないため、取引先が課税事業者の場合、取引先は仕入税額控除を全額は受けられません。免税事業者などからの仕入れについて、取引先が控除できる割合は、経過措置で令和8年10月1日から令和10年9月30日は70%、令和12年9月30日までは50%、令和13年9月30日までは30%で、その後は0%です(令和8年度税制改正)。

登録するかどうかは、取引先との関係・価格・事務の負担で決まります。このツールは、登録した場合の納付額の目安を出すもので、どちらがよいかは判断しません。

Q.基準期間と特定期間は、何ですか?

基準期間は、個人事業者ではその年の前々年です。令和9年分なら令和7年(2025年)で、この年の課税売上高が1,000万円を超えると、登録がなくても課税事業者になり、2割・3割特例は使えません(消費税法第9条)。特定期間は前年の1月〜6月で、この期間の課税売上高(または給与等の支払額)が1,000万円を超えるときも課税事業者になり、3割特例を使えません(国税庁インボイスQ&A 問115-2)。このツールは基準期間の課税売上高だけを入力でき、特定期間などは、チェックボックスで当てはまるかどうかを選びます。

Q.消費税の還付を受けたいときは?

仕入れや設備投資の消費税額が売上の消費税額を上回る年は、原則課税で申告すると差額が還付されます。簡易課税や、2割特例・3割特例では、通常は還付になりません(国税庁インボイスQ&A 問117-3)。ただし、課税事業者を選んで設備を買う場合などには、調整対象固定資産や高額特定資産の購入後に簡易課税や特例が使えなくなる期間があるなどの制限があります。このツールはそれらの判定をしていません。

Q.このツールで計算していないものは?

事業区分が2つ以上ある場合の計算(75%ルール・按分)、売上や仕入れを請求書ごとに積み上げる計算、免税事業者などインボイスのない仕入れの経過措置(70%・50%・30%控除)、課税売上割合が95%未満または課税売上高が5億円を超える場合、調整対象固定資産・高額特定資産、売上の返品・値引き、貸倒れ、中間申告、特定課税仕入れ、令和元年より前の旧税率です。

3割特例の申告書の様式は、2026年10月時点で公表された手引きがありません。端数処理は2割特例の設例(国税庁の手引き、国税太郎)と同じと仮定しています。令和8年分までは、国税庁の手引きの設例(国税太郎・甲野商店)を、このツールの計算で円単位まで再現しています。

出典