会社員(公務員)が病気やけがで障害年金を受け取るとき、障害厚生年金の報酬比例の額は、厚生年金に入っていた期間が300か月(25年)に満たなければ、300か月入っていたものとして計算されます。入って1年でも、10年でも、平均標準報酬額が同じなら、報酬比例の額は同じです。国民年金だけの人(自営業・学生・無職など)との差と、等級ごとの年額を、条文と日本年金機構の令和8年度の金額から計算しました。
300か月に満たなければ、300÷月数を掛ける
障害厚生年金の額は、老齢厚生年金と同じ計算式(平均標準報酬額×5.481/1000×月数。平成15年3月以前の期間は平均標準報酬月額×7.125/1000×月数)で求めます。被保険者期間の月数が300に満たないときは、この合計に「300÷月数」を掛けます(厚生年金保険法第50条第1項、平成12年法律第18号附則第20条第3項)。月数を掛けて、300÷月数を掛けるので、月数が相殺されて、平均標準報酬額と300か月分の額になります。ただし、障害認定日の属する月より後の期間は計算に入りません(第51条)。
| 厚生年金の月数(平成15年4月以後) | 報酬比例の額(平均標準報酬額30万円、2級) | 300月みなし |
|---|---|---|
| 12か月(1年) | 493,290円 | みなす |
| 120か月(10年) | 493,290円 | みなす |
| 299か月(24.9年) | 493,290円 | みなす |
| 300か月(25年) | 493,290円 | 実際の月数 |
| 360か月(30年) | 591,948円 | 実際の月数 |
| 420か月(35年) | 690,606円 | 実際の月数 |
| 480か月(40年) | 789,264円 | 実際の月数 |
300か月以上になると、実際の月数で計算するので、1か月増えるごとに約1,644円(平均標準報酬額30万円)ずつ増えます。同じ平均標準報酬額なら、360か月で591,948円、480か月で789,264円です。遺族厚生年金(死亡した人が在職中などのとき)にも、同じ300月みなしがあります(厚生年金保険法第60条)。
等級別・平均標準報酬額別の年額(子・配偶者なし)
平成15年4月以後に厚生年金へ120か月入っていた人(300月みなし)の、令和8年度の年額です。国民年金だけの人は、2級847,300円・1級1,059,125円で、3級はありません。1級は、報酬比例の額の1.25倍に、障害基礎年金(1級)が加わります。
| 平均標準報酬額 | 1級 | 2級 | 3級 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 1,470,200円 | 1,176,160円 | 635,500円 |
| 25万円 | 1,572,969円 | 1,258,375円 | 635,500円 |
| 30万円 | 1,675,738円 | 1,340,590円 | 635,500円 |
| 40万円 | 1,881,275円 | 1,505,020円 | 657,720円 |
| 50万円 | 2,086,813円 | 1,669,450円 | 822,150円 |
| 60万円 | 2,292,350円 | 1,833,880円 | 986,580円 |
3級は、障害厚生年金だけで、障害基礎年金がつきません。報酬比例の額が、最低保障額(障害基礎年金の2級の3/4で、令和8年度は635,500円)より低いと、最低保障額になります。300月みなしの場合、平均標準報酬額が38.64万円までは3級でも最低保障額で、38.65万円を超えると報酬比例の額になります(40万円で657,720円)。
子と配偶者がいると、いくら増える
障害基礎年金には、生計を維持している子(18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子)がいれば、2人目まで1人243,800円、3人目から81,300円が加わります。障害厚生年金の1級・2級には、生計を維持している65歳未満の配偶者がいれば、配偶者の加給年金243,800円が加わります(3級にはありません)。平均標準報酬額30万円で2級の人に、子が2人と配偶者がいると、年2,071,990円(1,340,590円+子の加算487,600円+配偶者の加給年金243,800円)です。国民年金だけの人は、配偶者の加給年金はありません。
平成15年3月以前の期間があるとき
平成15年3月以前の期間は、ボーナスを含まない平均標準報酬月額に7.125/1000、平成15年4月以後は、ボーナスを含む平均標準報酬額に5.481/1000を掛けます。たとえば、平成15年3月以前が100か月(平均標準報酬月額25万円)、平成15年4月以後が150か月(平均標準報酬額40万円)なら、178,125円+328,860円=506,985円で、合計250か月は300か月に満たないので、300÷250を掛けて608,382円(2級)です。
この計算に入っていないこと
障害の等級は、診断書などをもとに日本年金機構が認定するもので、ここでは決まりません。初診日の前日までの保険料の納付要件(3分の2以上、または令和18年3月末日までの初診日で65歳未満なら直近1年間に未納なし)、障害認定日、事後重症の請求、20歳前の傷病による障害基礎年金の所得制限、昭和21年4月2日より前に生まれた人の乗率、従前額保障、障害手当金は入れていません。平均標準報酬額は、ねんきん定期便・ねんきんネットの再評価後の額を使ってください。計算は、障害年金の年金額の計算で、お手元の記録を入れて確かめられます。障害年金には税金がかかりません(国民年金法第25条、厚生年金保険法第41条第2項)。
出典
- e-Gov法令検索 — 厚生年金保険法(第50条 障害厚生年金の額・300月・1級100分の125・最低保障、第50条の2 加給年金額、第51条、第35条 端数処理。令和8年10月1日施行の版)/ 平成12年法律第18号 附則第20条(平成15年3月以前・以後の乗率、300月に満たない障害厚生年金は合計に300÷月数)
- e-Gov法令検索 — 国民年金法(第33条 障害基礎年金の額、第33条の2 子の加算。令和8年10月1日施行の版)
- 日本年金機構 — 障害年金ガイド 令和8年度版(PDF。1級は2級の1.25倍、報酬比例の計算式、加入期間が300月未満なら300月とみなす、加給年金額と子の加算額)
- 日本年金機構 — 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額(令和8年4月分から。3級の最低保障額635,500円、300月みなし)
- 日本年金機構 — 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額(令和8年4月分から。2級847,300円・1級1,059,125円、子の加算)