住宅ローン控除は年収いくらから満額使える?所得税・住民税の枠で頭打ちになる年収の目安(令和8年入居)

住宅ローン控除の年間の上限は、納めている所得税と住民税の枠を超えては使えません。単身・給与のみの試算では、上限14万円を使いきれるのは年収約442万円から、上限31.5万円なら約666万円からです。年収別の控除枠と、限度額を上げても控除額が増えない範囲を計算しました。

公開日 2026年9月24日

出典の確認・検証・訂正について

住宅ローン控除の年間の上限は、借入限度額の0.7%で決まります(14万円35万円)。ただし、その上限をそのまま受け取れるのは、控除できる税額(所得税と、住民税の一部)が上限以上ある人だけです。本サイトの試算(単身・給与のみ・35歳)では、上限14万円を使いきれる年収は約442万円、上限31.5万円なら約666万円です。この記事では、年収別の控除枠と、借入限度額を上げても控除額が増えない範囲を計算で確かめます。

控除額は「上限」ではなく「納めている税額」で決まる

住宅ローン控除は、年末のローン残高(借入限度額まで)の0.7%を、所得税から差し引く制度です(国税庁 No.1211-1)。所得税から引ききれない分は、翌年度の個人住民税から引かれますが、住民税から引ける額には上限があります。前年分の所得税の課税総所得金額等の5%、最高9.75万円です(総務省)。

つまり、1年に引ける額は「所得税額 + min(9.75万円、課税総所得金額の5%)」が枠になり、控除額はこの枠と「年末残高×0.7%」の小さいほうになります。所得税と住民税を合わせても枠が小さい人は、限度額が大きい住宅を選んでも、その差を使いきれません。

年収別の控除枠と、控除が効く年末残高の上限

額面年収所得税住民税へ回せる上限控除枠(合計)枠を使いきる年末残高
¥3,000,000¥26,900¥26,900¥53,800768万円
¥4,000,000¥56,550¥56,550¥113,1001,615万円
¥4,500,000¥72,850¥72,850¥145,7002,081万円
¥5,000,000¥89,200¥89,200¥178,4002,548万円
¥6,000,000¥146,200¥97,500¥243,7003,481万円
¥7,000,000¥272,300¥97,500¥369,8005,282万円
¥8,000,000¥426,700¥97,500¥524,2007,488万円
¥10,000,000¥804,300¥97,500¥901,80012,882万円
前提:令和8年分、35歳・独身・扶養なし・給与所得のみ。所得税は復興特別所得税を含まない税額(住宅ローン控除は所得税額から引きます)、社会保険料は全国平均の料率による概算です。「枠を使いきる年末残高」は、控除枠を0.7%で割った金額で、これを超える分のローン残高は控除額を増やしません。

たとえば年収500万円の控除枠は¥178,400で、これは年末残高が約2,548万円のときの控除額に相当します。年末残高がこれより多くても、この年収では、それ以上は控除額が増えません。

上限ごとの「満額使える年収」

令和8年以降に入居する場合の借入限度額は、住宅の種類・性能と、子育て世帯・若者夫婦世帯かどうかで5段階に分かれます。それぞれの年間の上限を使いきれる最低の年収(1万円刻みで探索)は、次のとおりです。

借入限度額年間の上限満額使える年収当てはまる住宅の区分(令和8年入居)
2,000万円14万円442万円新築・省エネ基準適合、買取再販・省エネ基準適合、買取再販・その他、既存・省エネ基準適合、既存・その他
3,000万円21万円549万円新築・省エネ基準適合(子育て世帯等)、買取再販・省エネ基準適合(子育て世帯等)、既存・省エネ基準適合(子育て世帯等)
3,500万円24.5万円602万円新築・ZEH水準、買取再販・ZEH水準、既存・認定住宅、既存・ZEH水準
4,500万円31.5万円666万円新築・認定住宅、新築・ZEH水準(子育て世帯等)、買取再販・認定住宅、買取再販・ZEH水準(子育て世帯等)、既存・認定住宅(子育て世帯等)、既存・ZEH水準(子育て世帯等)
5,000万円35万円687万円新築・認定住宅(子育て世帯等)、買取再販・認定住宅(子育て世帯等)
新築の省エネ基準適合住宅は、令和10年(2028年)以降の入居では原則対象外です(旧基準の建築確認等の例外を除く)。子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せは、床面積50㎡以上の住宅が対象です。「満額使える年収」は、年末残高が借入限度額以上ある年の上限を基準にしています。ローンが減ると年末残高も減るため、後半の年の上限は下がります。

限度額を上げても、控除額は同じ比率では増えない

借入4,500万円(年1.0%・35年・元利均等、12月に借入して1年目の年末残高が4,500万円)で、新築の認定住宅(借入限度額4,500万円)と、省エネ基準適合住宅(同2,000万円)を、13年間の控除額の合計で比べます。

額面年収認定住宅(限度額4,500万円)省エネ基準適合(限度額2,000万円)
¥5,000,000¥2,319,200¥1,820,000¥499,200
¥8,000,000¥3,482,900¥1,820,000¥1,662,900

年間の上限で見ると、認定住宅の31.5万円は省エネ基準適合の14万円2.25倍です。ところが年収500万円では、控除枠が¥178,400なので、13年間の合計の差は¥499,200にとどまります。年収800万円では控除枠に余裕があり、差は¥1,662,900まで広がります。

これは控除額だけの比較です。住宅の価格、性能による光熱費、ローンの利息などは含んでいません。どの住宅が得かを判断する材料ではなく、「限度額が大きいことと、実際に控除を受けられることは別」という点を確かめるための計算です。

控除枠を変える要因

  • 所得控除:配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、医療費控除、iDeCoの掛金などで課税所得が減ると、所得税額と住民税へ回せる上限が下がり、控除枠は小さくなります。この記事の表は、これらがない場合の枠です。
  • 年齢:40歳から介護保険料が加わり課税所得が減るため、枠はわずかに下がります。年収600万円で、30歳と40歳の差は¥4,900です。
  • 夫婦でローンを組む場合:連帯債務やペアローンでは、それぞれが自分の分の控除を受けるため、枠は各人の税額で決まります。持ち方によって取り扱いが異なるので、詳しくは税務署にご確認ください。
  • 制度の変更:令和8・9年分の基礎控除の特例が終わると課税所得が増え、枠も変わります。ここでの数字は令和8年分の税制で計算しています。

自分の条件で確かめる

住宅の種類・性能、入居年、借入額、年収を入れて年ごとの控除額を計算するには、住宅ローン控除シミュレーションをご利用ください。毎月の返済額や総利息は住宅ローン返済シミュレーションで確認できます。適用の可否(床面積・築年数・証明書など)や、実際の控除額は、税務署または国税庁のサイトでご確認ください。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。