夫が亡くなったとき、妻が39歳か40歳かで、65歳までの遺族年金は約1,480万円違う?子のない妻の年齢別の表と、子が14歳と15歳で約1,680万円違う理由

会社員の夫が亡くなったとき、中高齢寡婦加算がつくかは、妻が40歳に達していたかで決まり、子のない妻は39歳と40歳で65歳までに約1,480万円違います。子がいる妻は子の年齢で分かれる理由と、平均標準報酬額別の表。

公開日 2026年10月28日

出典の確認・検証・訂正について

会社員の夫が亡くなったとき、妻は遺族厚生年金を受け取り、子がいれば遺族基礎年金も加わります。ここまでは、遺族年金の説明でよく見る内容です。ただ、令和8年度の決まりを月ごとに計算すると、妻の年齢と子の年齢のわずかな差で、65歳までの総額が1,000万円以上違う線がいくつかあります。条文と日本年金機構のガイドを読んで、その線がどこにあるかを、同じ設定の表にしました。

設定は、令和8年10月15日に、平均標準報酬額40万円・加入20年の夫が在職中に亡くなった場合です(遺族厚生年金は年493,290円)。子のない妻は、亡くなった日に39歳なら65歳までに1,237万円、40歳なら2,719万円で、1,481万円違います。子が1人いる35歳の妻は、子が14歳なら3,484万円、15歳なら1,807万円で、1,677万円違います。子が大きいほうが少なくなります。

40歳の線: 子のない妻の中高齢寡婦加算

遺族厚生年金に、妻が40歳から65歳になるまで、中高齢寡婦加算(令和8年度は年635,500円、遺族基礎年金の3/4)がつくのは、妻が遺族厚生年金の受給権を取得した当時(夫が亡くなったとき)、40歳以上65歳未満だった場合です(厚生年金保険法第62条)。亡くなったとき39歳だった妻には、あとで40歳になっても加算はつきません。

年齢は、年齢計算ニ関スル法律と民法第143条により、誕生日の前日に1つ上がります。たとえば12月1日生まれの妻は、11月30日に40歳に達します。表は12月1日生まれで、10月15日に亡くなったときの年齢です。

亡くなった日の妻の年齢65歳までの総額うち遺族厚生年金うち中高齢寡婦加算
28歳247万円247万円—
29歳247万円247万円—
30歳1,681万円1,681万円—
35歳1,435万円1,435万円—
39歳1,237万円1,237万円—
40歳2,719万円1,188万円1,530万円
45歳2,154万円941万円1,213万円
50歳1,590万円695万円895万円
55歳1,025万円448万円577万円
60歳461万円201万円259万円

39歳と40歳の差は1,481万円で、ほとんどが中高齢寡婦加算(40歳の妻の合計1,530万円)です。40歳になるまで子がいなかった妻は、加算がつかないぶん、39歳以下の表のように総額が小さくなります。加算の額は年635,500円ですが、40歳から65歳までの約25年間続くので、1,500万円を超えます。

30歳の線: 子のない妻の遺族厚生年金は5年で終わる

亡くなったとき30歳未満の妻で子がいなければ、遺族厚生年金は、受給権を取得した日から5年で終わります(第63条1項5号。日本年金機構のガイドも「30歳未満の子のない妻は5年間の有期給付」としています)。29歳は60か月分の247万円、30歳は65歳まで続いて1,681万円です。差は1,435万円です。30歳になる日は、やはり誕生日の前日です。

この30歳の線は、令和10年4月に変わります。厚生労働省の説明では、令和10年4月から、18歳年度末までの子がいない配偶者は、60歳未満で死別したとき原則5年の有期給付になります(有期給付加算で額は約1.3倍。女性は20年かけて段階的に実施)。亡くなる日が令和10年4月1日以後なら、この表は当てはまりません。

子がいる妻: 子が15歳だと、妻が40歳のときに子がいなくなる

子がいる妻には、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日までは遺族基礎年金(847,300円+子の加算)が出て、その間は中高齢寡婦加算は止まります。子の年度末のあと、妻が40歳以上で遺族基礎年金が終わったとき、加算がつくのは、「40歳に達した当時、子と生計を同じくしていた妻」です(第62条。日本年金機構のガイドも、「40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻」としています)。

つまり、妻が40歳になる日に、子の遺族基礎年金がまだ出ているかが分かれ目です。夫が亡くなった日に妻が35歳(1990年12月1日生まれ。40歳に達する日は2030年11月30日)、子が1人(4月2日生まれ)の場合の表です。

亡くなった日の子の年齢65歳までの総額うち遺族基礎年金うち中高齢寡婦加算
0歳(2026年6月生まれ)4,122万円2,009万円678万円
5歳3,894万円1,464万円996万円
10歳3,666万円918万円1,313万円
12歳3,575万円700万円1,440万円
13歳3,530万円591万円1,504万円
14歳3,484万円482万円1,568万円
15歳1,807万円373万円—
17歳1,589万円155万円—

子が14歳(2012年4月2日生まれ)なら、遺族基礎年金は2031年3月分まで出て、妻が40歳になる2030年11月30日にはまだ出ています。そのため、子の年度末のあとから65歳まで加算がつきます。子が15歳(2011年4月2日生まれ)だと、年度末は2030年3月で、妻の40歳より前です。加算はつかず、総額は1,807万円です。子が小さいほど遺族基礎年金の期間が長くなりますが、14歳と15歳の差(遺族基礎年金の1年分は約109万円)に比べて、加算の約1,570万円のほうがはるかに大きいのです。

同じ年でも、子の誕生日で差が出ます。子が2020年4月1日生まれだと、18歳に達する日が3月31日なので、遺族基礎年金は2038年3月分までです。4月2日生まれは2039年3月分まで。妻が35歳なら、4月1日生まれのほうが遺族基礎年金が1年短いぶん、加算が1年早く始まって、65歳までの総額は3,803万円と3,848.6万円で、約45.6万円の差です。

夫の収入(平均標準報酬額)で、どれだけ変わるか

遺族厚生年金は、亡くなった方の報酬比例の3/4なので、夫の平均標準報酬額に比例します。遺族基礎年金と中高齢寡婦加算は報酬に関係なく同じ額です。妻35歳・子1人(2020年4月2日生まれ)の場合です。

平均標準報酬額(月額)遺族厚生年金(年額)子がいる間(年額)子の年度末のあと(年額)65歳までの総額
25万円308,306円1,399,406円943,806円3,311万円
35万円431,629円1,522,729円1,067,129円3,669万円
45万円554,951円1,646,051円1,190,451円4,028万円
55万円678,274円1,769,374円1,313,774円4,387万円
65万円801,596円1,892,696円1,437,096円4,745万円

平均標準報酬額が25万円から65万円まで2.6倍になっても、総額は約1.4倍にしか増えません。基礎年金と加算の定額部分が、全体の半分以上を占めるからです。

この表に入っていないこと

遺族年金を受け取るには、亡くなった方の保険料の納付要件、生計維持(年収850万円未満が原則)などの要件があります。この表は、それを満たし、年金を請求した場合の計算です。平均標準報酬額は、年収÷12に近い金額で、過去の給与を現在の価値に直す再評価は入っていません。亡くなった方が年金を受けていた場合、遺族が夫の場合、令和10年4月1日以後に亡くなった場合は別の計算です。65歳以降の遺族厚生年金と、妻自身の老齢年金はこの表の合計に入れていません。実際の額は、遺族年金の計算に、亡くなった日と配偶者・子の生年月日を入れて確かめてください。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。