ふるさと納税の上限額は家族構成でいくら変わる?年収別・世帯別の目安と、条文から読む計算のしくみ(令和8年分)

年収500万円の独身・共働きの上限額は約5.7万円、夫婦(配偶者に収入なし)は約5万円、夫婦と高校生・大学生では約2.8万円です。配偶者控除で所得税の税率の区分が下がる年収700万円では、下がり方が約2.2万円と大きくなります。世帯別の上限額の表に加えて、ワンストップ特例の上限額が確定申告よりわずかに低い理由と、上限額まで寄附しても自己負担が2,000円を超える年収の範囲を、地方税法の条文から計算しました。

公開日 2026年9月27日

出典の確認・検証・訂正について

ふるさと納税の「上限額の目安」を年収の表で見ることが多いのですが、上限額は年収だけでは決まりません。上限額の土台は住民税の所得割額(住民税のうち所得に応じてかかる部分)で、配偶者や子がいると、その所得割額が下がるからです。この記事では、年収と世帯の形ごとの上限額を当サイトの計算エンジンで求め、世帯で差が出る理由と、条文を読んでわかった注意点を整理します。

計算は当サイトのふるさと納税シミュレーションと同じもので、地方税法(令和9年度分の住民税に適用される版)と所得税法の条文にもとづいています。令和8年中の寄附が対象です。

世帯の形で、上限額はこれだけ違う

年収500万円の場合、独身・共働きの上限額は57,000円、夫婦(配偶者に収入なし)は50,000円、夫婦と高校生1人は41,000円、夫婦と大学生1人は36,000円、夫婦と高校生・大学生の3人だと28,000円です。同じ年収でも、家族が多い世帯の上限額は独身の約半分になります。

額面年収独身・共働き夫婦(配偶者に収入なし)夫婦+高校生1人夫婦+大学生1人夫婦+高校生・大学生
300万円28,000円20,000円11,000円7,000円2,000円
400万円42,000円34,000円25,000円21,000円12,000円
500万円57,000円50,000円41,000円36,000円28,000円
600万円77,000円69,000円57,000円54,000円43,000円
700万円108,000円86,000円78,000円75,000円67,000円
800万円130,000円121,000円111,000円94,000円86,000円
1,000万円183,000円174,000円160,000円157,000円147,000円
前提:35歳・給与所得のみ・社会保険料は料率による概算(源泉徴収票の金額を入れると変わります)・生命保険料などの控除なし。配偶者は収入なし、高校生は16〜18歳、大学生は19〜22歳で収入なし(特定扶養)。上限額は、2,000円を超える部分を1,000円単位で切り捨てて2,000円を足した目安です。

年収300万円の夫婦と高校生・大学生の世帯は上限額が2,000円、つまり住民税の所得割がほとんどなく、ふるさと納税による控除のメリットがほぼありません。家族が多い世帯ほど、年収の目安表をそのまま使うと寄附しすぎになります。

16歳未満の子には扶養控除がないので、年収850万円以下では、子どもが小学生だけの夫婦の上限額は「夫婦」の列と同じです。年収が850万円を超え、23歳未満の扶養親族(16歳未満の子を含む)がいると、給与所得から所得金額調整控除((給与収入−850万円)×10%、給与収入1,000万円まで)が引かれるため、16歳未満の子でも上限額が下がります(住民税にも同じ制度があります)。

配偶者・子が加わると何円下がるか — 年収500万円と700万円で比べる

独身・共働きの上限額を基準に、同じ年収で家族が加わったときの差を比べます。配偶者控除の効果は、年収500万円では7,000円下がるだけですが、年収700万円では22,000円と3倍以上に広がります。

世帯年収500万円500万円の独身との差年収700万円700万円の独身との差
独身・共働き57,000円—108,000円—
夫婦(配偶者に収入なし)50,000円-7,000円86,000円-22,000円
夫婦+高校生1人41,000円-16,000円78,000円-30,000円
夫婦+大学生1人36,000円-21,000円75,000円-33,000円
夫婦+高校生・大学生28,000円-29,000円67,000円-41,000円

理由は、配偶者控除が2つの経路で上限額を下げるからです。1つは、住民税の課税所得が33万円減って所得割額が下がることです。もう1つは、年収700万円の独身は所得税の税率が20%の区分ですが、配偶者控除(所得税で38万円)があると課税所得が330万円を下回り、10%の区分に下がることです。所得税の税率が低いと、寄附額に対して所得税から還付される割合が小さくなり、その分を住民税の特例分でまかなうことになって、所得割額の2割という上限に早く当たります。年収500万円は独身も夫婦も5%の区分のままなので、前者の経路だけです。

上限額の式 — 所得割額の2割 ÷(90%−所得税率)

総務省の説明では、住民税の特例分(寄附額−2,000円に、100%−10%−所得税の税率を掛けた額)は、所得割額の2割が上限です。寄附額を増やしていくと、特例分がこの上限に当たる点があり、そこが「自己負担2,000円のままでいられる上限額」です。式にすると、上限額=所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円です(1.021は復興特別所得税)。

独身・年収500万円・社会保険料75万円(源泉徴収票の金額と仮定)で手順を追います。

  • 住民税の課税総所得金額:給与所得3,560,000円−社会保険料750,000円−基礎控除43万円=2,380,000円
  • 所得割額:2,380,000円×10%−調整控除2,500円=235,500円(調整控除は、所得税と住民税で人的控除の額が違うことによる負担増を減らす制度で、独身なら基礎控除の差5万円の5%=2,500円です)
  • 特例分の上限:235,500円×20%=47,100円
  • 所得税の税率:総務省の説明では、住民税の課税総所得金額から「人的控除差調整額」を引いた額で求めます。この例では、調整控除の人的控除額の差5万円と、令和8・9年分の基礎控除の加算を含む所得税の基礎控除104万円のうち48万円を超える分56万円の合計610,000円を引いて1,770,000円(税率5%)です
  • 寄附額−2,000円=47,100円÷(90%−5%×1.021)=約55,480円。上限額は約57,480円で、1,000円未満を切り捨てると57,000円です

調整控除は、単身では2,500円と小さいのですが、所得割額に効くため上限額を数百円下げます。以前の当サイトのシミュレーターは調整控除を引いていなかったので、単身の上限額が約1,000円高く出ていました(年収500万円で58,000円)。今回の計算で直しています。

生命保険料・地震保険料を払っていると、少し下がる

生命保険料控除と地震保険料控除の額は、所得税と住民税で表が違います(生命保険料は所得税が最高12万円、住民税は最高7万円。地震保険料は所得税が最高5万円、住民税は最高2万5,000円)。年収500万円の独身で比べます。

払っている保険料住民税の所得割額上限額
控除なし236,900円57,000円
生命保険料 新契約8万円234,100円57,000円
生命保険料・介護医療・個人年金 各8万円229,900円56,000円
上の3つ+地震保険料5万円227,400円55,000円

保険料控除が大きくなるほど所得割額が下がり、上限額は1,000〜2,000円ずつ下がります。年収500万円の例では、控除なしの57,000円が、保険料をすべて払っていると55,000円になります。家族による差に比べると小さいですが、次の項目のように、税率の区分の境目では別の影響が出ます。

確定申告とワンストップ特例で、上限額は同じではない

総務省は、ワンストップ特例では所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が翌年度の住民税から控除されると説明しています(控除の総額は確定申告と同じという考え方です)。ただし、地方税法附則第7条の2を条文どおりに計算すると、ワンストップ特例の上限額は、確定申告よりわずかに低くなります。

ワンストップ特例では、所得税の還付がない代わりに、申告特例控除額が住民税から追加で引かれます。この額は、特例控除額(上限は所得割額の2割)に、特例控除額の割合の表に対応する比率(5/85、10/80、20/70、23/67、33/57)を掛けたものです。特例控除額の上限が先に当たるため、申告特例控除額は所得割額に比例して頭打ちになります。一方、確定申告で還付される所得税は、寄附額に比例して増えます。割合の表は「90%−所得税率×1.021」を整数%に切り上げた値(たとえば所得税率20%なら69.58%を70%)なので、この差が上限額に表れます。

額面年収(独身・共働き)確定申告の上限額ワンストップ特例の上限額差
500万円57,000円57,000円—
700万円108,000円108,000円—
1,000万円183,000円182,000円1,000円
1,200万円248,000円247,000円1,000円
1,500万円394,000円389,000円5,000円
2,000万円562,000円555,000円7,000円

年収500万〜700万円では差がなく、1,000万円で1,000円、1,500万円で5,000円、2,000万円で7,000円と、所得税率が高い人ほど大きくなります。これは条文どおりに計算した当サイトの結果で、総務省が示している数字ではありません。自治体ごとの円未満の端数処理で、実際の金額はわずかにずれることがあります。

上限額まで寄附しても、自己負担が2,000円を超える人がいる

住民税の特例分に使う所得税率は、「住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を引いた額」で決まります。人的控除差調整額には、生命保険料控除・地震保険料控除の所得税と住民税の差は含まれません。そのため、生命保険料などの控除が大きい人は、特例分に使う税率が、実際に還付される所得税の税率より高い区分に入ることがあります。この場合、特例分は「所得税でこれだけ戻る」と見込んだ額より多く必要になるのに、実際の還付は少ないので、自己負担が増えます。

たとえば独身・年収540万円で、新契約の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料をそれぞれ8万円払っている人は、所得税の課税所得が1,925,000円(税率5%)なのに、特例分の判定に使う額は1,975,000円(税率10%)です。上限額の66,000円を寄附すると、実質の自己負担は約5,133円(2,000円より約3,133円多い)になります。

寄附で所得税の課税所得が税率の境目(195万円・330万円・695万円・900万円など)をまたぐ場合も、所得税の還付が「寄附額×税率」より小さくなるので、自己負担が増えます。次の表は、独身・共働きで、生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を各8万円払っているときに、上限額まで寄附すると自己負担が2,000円を1,000円以上超える年収の範囲です(10,000円刻みで探した範囲)。

額面年収の範囲自己負担の増え方(最大)主な原因
537万円〜550万円約3,133円課税所得が税率の境目のすぐ下で、特例分の判定は上の区分
683万円〜701万円約10,306円課税所得が税率の境目のすぐ下で、特例分の判定は上の区分
1,092万円〜1,114万円約6,577円課税所得が税率の境目のすぐ下で、特例分の判定は上の区分
1,309万円〜1,347万円約33,311円課税所得が税率の境目のすぐ下で、特例分の判定は上の区分

この範囲は、この保険料の払い方の独身の例です。世帯や控除が違えば、別の年収に移ります。当サイトのシミュレーションは、入力した内容で自己負担が増えるときに、その額と理由を表示します。増える額は年収の範囲によって数千円から3万円あまりまで幅があるので、返礼品の価値(寄附額の3割以内)と比べて考えてください。上限額より少なめに寄附すれば、自己負担は2,000円に近づきます。

この記事の前提と、確認できていないこと

  • 表は、給与所得だけの会社員で、35歳・令和8年中の寄附・令和9年度分の住民税です。社会保険料は料率による概算で、源泉徴収票の金額を入れるとずれが小さくなります。
  • 住宅ローン控除、障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生の控除、雑損控除、副業・不動産などの所得は扱いません。住宅ローン控除で所得税がほぼ0円になる人は、所得税の還付を受けにくく、自己負担が増えます。
  • 令和8年度の税制改正で、特例控除額に絶対額の上限(住民税所得割額が約965万円、給与収入で1億円を超える水準)が設けられましたが(適用時期は確認していません)、ここでは扱いません。
  • 条文は、令和9年度分の住民税に適用される版(e-Govの2026年9月26日時点、令和8年法律第2号による改正後)を読みました。人的控除額の差の表は、練馬区の調整控除のページの表(固定額)とも照合しました。今後の改正で変わる場合があります。
  • 各自治体のシミュレーターや、国税庁の確定申告書等作成コーナーの結果との照合はしていません。実際の金額は、お住まいの市区町村にご確認ください。

自分の年収や家族構成で計算したい場合は、ふるさと納税シミュレーションをご利用ください。一般的な情報であり、専門的助言ではありません。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。