ボーナスの手取りは額面のどれくらい?源泉徴収「算出率の表」の仕組み

賞与から引かれるのは社会保険料と、前月の給与で率が決まる源泉所得税。月給20万〜60万円のモデルで手取り率を計算すると、71%〜82%と大きく開きます。その理由を国税庁の表から読み解きます。

公開日 2026年9月21日

ボーナスの明細を見て「思ったより引かれている」と感じた人は多いはずです。賞与から引かれるのは、社会保険料と 源泉所得税の2つ。ただし、所得税の税率は賞与の金額ではなく、前月の給与と扶養家族の数で決まる、少し変わった 仕組みになっています。この記事では、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の読み方と、月給別に 手取りがどう変わるのかを、本サイトの計算エンジンで試算した結果とあわせて整理します。

賞与から引かれるもの

  • 社会保険料:賞与の額を1,000円未満で切り捨てた「標準賞与額」に保険料率を掛けます。厚生年金の 上限は1回150万円、健康保険は年度(4月〜翌3月)の累計573万円です(日本年金機構)。雇用保険は賞与の額そのものに 掛かります。本人負担の料率は、厚生年金9.15%、健康保険4.95%(協会けんぽの全国平均)、雇用保険0.5%で、 30歳なら合計14.6%です。40〜64歳は介護保険(本人負担0.81%)が加わります。
  • 源泉所得税:(賞与 − 社会保険料)に「算出率の表」から求めた率を掛けます。次の章で説明します。

源泉所得税の率は、前月の給与で決まる

国税庁のタックスアンサー(No.2523)によると、扶養控除等申告書を出している人の賞与の源泉徴収は、次の3ステップです。

  • 前月の給与から、その給与に対する社会保険料等を引いた金額を求める。
  • その金額と扶養親族等の数を、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(甲欄)に当てはめて、率を求める。
  • (賞与 − 社会保険料)× その率 = 源泉所得税。

国税庁の計算例では、前月の社会保険料等控除後の給与が285,454円、賞与(社会保険料控除後)が389,558円、扶養親族等が 3人の場合、算出率は2.042%で、税額は389,558円 × 2.042% = 7,954円です。つまり、率を決めるのは賞与の大きさではありません。

それを確かめるために、月給30万円(30歳・扶養なし)の人で賞与の額だけを変えて試算しました。

賞与の額面算出率源泉所得税手取り率
¥200,0004.084%¥6,97581.9%
¥600,0004.084%¥20,92681.9%
¥1,500,0004.084%¥52,31681.9%

賞与が20万円でも150万円でも、率は同じ4.084%で、手取り率も変わりません。賞与が多いからといって、 その分だけ高い税率が適用されるわけではないのです。

月給別に見る、賞与の手取り

一方で、月給が上がると算出率の表の高い行に移るため、手取り率は下がっていきます。賞与が月給の2か月分の場合の 試算は次のとおりです。手取り率は81.9%から71.4%まで開きます。

月給賞与(2か月分)社会保険料算出率源泉所得税手取り手取り率
¥200,000¥400,000¥58,4004.084%¥13,950¥327,65081.9%
¥250,000¥500,000¥73,0004.084%¥17,438¥409,56281.9%
¥300,000¥600,000¥87,6004.084%¥20,926¥491,47481.9%
¥400,000¥800,000¥116,8008.168%¥55,803¥627,39778.4%
¥500,000¥1,000,000¥146,00014.294%¥122,070¥731,93073.2%
¥600,000¥1,200,000¥175,20016.336%¥167,411¥857,38971.4%
前提:30歳・扶養親族等なし・社会保険料は全国平均の料率による概算・年度内に他の賞与なし。40代で介護保険がかかる場合、 月給30万円・賞与60万円なら手取り率は81.9%から81.1%へ 下がります。

月給が30万円を少し超えたあたりから、算出率は4.084%、6.126%、8.168%と段階的に上がり、月給50万円では14.294%に なります。手取り率が下がっていくのは、算出率の表の行が切り替わっていくためです。

扶養親族等の数でも率が変わる

同じ月給でも、扶養控除等申告書に書いた扶養親族等(配偶者を含む)の数が多いほど、率は低くなります。 月給ごとの率を、扶養0人と2人で比べると次のとおりです。

月給前月の社会保険料等控除後の給与扶養0人扶養2人
¥200,000¥170,8004.084%2.042%
¥300,000¥256,2004.084%2.042%
¥350,000¥298,9006.126%4.084%
¥400,000¥341,6008.168%6.126%
¥500,000¥427,00014.294%12.252%
¥800,000¥696,92522.462%20.42%

源泉徴収は「前払い」で、年末調整で精算される

賞与の源泉徴収税額は、あくまで概算の前払いです。会社員の場合、1年間の正しい所得税は12月の年末調整で計算し直され、 すでに源泉徴収された税額との差額が精算されます(国税庁の年末調整Q&A)。そのため、賞与から引かれた所得税が、 その賞与に対する「本来の税額」というわけではありません。

計算が変わるケースと、来年以降の注意

  • 賞与(社会保険料控除後)が前月給与(同)の10倍を超える場合や、前月に給与がない場合は、算出率の表ではなく、 月額表を使う別の計算方法になります(国税庁)。
  • この記事の表は令和8年分(2026年中に支払う賞与)のものです。令和9年1月1日以後に支払う給与には改正後の源泉徴収 税額表が適用されるため、来年の賞与は、公表される新しい表で確認してください。

自分の月給と賞与で試すには、賞与手取り計算をお使いください。年間の手取りは手取り計算で確認できます。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、 制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。