ボーナスの明細を見て「思ったより引かれている」と感じた人は多いはずです。賞与から引かれるのは、社会保険料と源泉所得税の2つ。ただし、所得税の税率は賞与の金額ではなく、前月の給与と扶養家族の数で決まる、少し変わった仕組みになっています。この記事では、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の読み方と、月給別に手取りがどう変わるのかを、本サイトの計算エンジンで試算した結果とあわせて整理します。
賞与から引かれるもの
- 社会保険料:賞与の額を1,000円未満で切り捨てた「標準賞与額」に保険料率を掛けます。厚生年金の上限は1回150万円、健康保険(子ども・子育て支援金を含む)は年度(4月〜翌3月)の累計573万円です(日本年金機構)。雇用保険は賞与の額そのものに掛かります。本人負担の料率は、厚生年金9.15%、健康保険4.95%(協会けんぽの全国平均)、雇用保険0.5%、子ども・子育て支援金0.115%(令和8年4月分から徴収開始)で、30歳なら合計14.715%です。40〜64歳は介護保険(本人負担0.81%)が加わります。
- 源泉所得税:(賞与 − 社会保険料)に「算出率の表」から求めた率を掛けます。次の章で説明します。
源泉所得税の率は、前月の給与で決まる
国税庁のタックスアンサー(No.2523)によると、扶養控除等申告書を出している人の賞与の源泉徴収は、次の3ステップです。
- 前月の給与から、その給与に対する社会保険料等を引いた金額を求める。
- その金額と扶養親族等の数を、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(甲欄)に当てはめて、率を求める。
- (賞与 − 社会保険料)× その率 = 源泉所得税。
国税庁の計算例では、前月の社会保険料等控除後の給与が285,454円、賞与(社会保険料控除後)が389,558円、扶養親族等が3人の場合、算出率は2.042%で、税額は389,558円 × 2.042% = 7,954円です。つまり、率を決めるのは賞与の大きさではありません。
それを確かめるために、月給30万円(30歳・扶養なし)の人で賞与の額だけを変えて試算しました。
| 賞与の額面 | 算出率 | 源泉所得税 | 手取り率 |
|---|---|---|---|
| ¥200,000 | 4.084% | ¥6,966 | 81.8% |
| ¥600,000 | 4.084% | ¥20,898 | 81.8% |
| ¥1,500,000 | 4.084% | ¥52,245 | 81.8% |
賞与が20万円でも150万円でも、率は同じ4.084%で、手取り率も変わりません。賞与が多いからといって、その分だけ高い税率が適用されるわけではないのです。
月給別に見る、賞与の手取り
一方で、月給が上がると算出率の表の高い行に移るため、手取り率は下がっていきます。賞与が月給の2か月分の場合の試算は次のとおりです。手取り率は81.8%から71.4%まで開きます。
| 月給 | 賞与(2か月分) | 社会保険料 | 算出率 | 源泉所得税 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ¥200,000 | ¥400,000 | ¥58,860 | 4.084% | ¥13,932 | ¥327,208 | 81.8% |
| ¥250,000 | ¥500,000 | ¥73,575 | 4.084% | ¥17,415 | ¥409,010 | 81.8% |
| ¥300,000 | ¥600,000 | ¥88,290 | 4.084% | ¥20,898 | ¥490,812 | 81.8% |
| ¥400,000 | ¥800,000 | ¥117,720 | 8.168% | ¥55,728 | ¥626,552 | 78.3% |
| ¥500,000 | ¥1,000,000 | ¥147,150 | 14.294% | ¥121,906 | ¥730,944 | 73.1% |
| ¥600,000 | ¥1,200,000 | ¥176,580 | 16.336% | ¥167,185 | ¥856,235 | 71.4% |
月給が30万円を少し超えたあたりから、算出率は4.084%、6.126%、8.168%と段階的に上がり、月給50万円では14.294%になります。手取り率が下がっていくのは、算出率の表の行が切り替わっていくためです。
扶養親族等の数でも率が変わる
同じ月給でも、扶養控除等申告書に書いた扶養親族等(配偶者を含む)の数が多いほど、率は低くなります。月給ごとの率を、扶養0人と2人で比べると次のとおりです。
| 月給 | 前月の社会保険料等控除後の給与 | 扶養0人 | 扶養2人 |
|---|---|---|---|
| ¥200,000 | ¥170,570 | 4.084% | 2.042% |
| ¥300,000 | ¥255,855 | 4.084% | 2.042% |
| ¥350,000 | ¥298,498 | 6.126% | 4.084% |
| ¥400,000 | ¥341,140 | 8.168% | 6.126% |
| ¥500,000 | ¥426,425 | 14.294% | 12.252% |
| ¥800,000 | ¥696,005 | 22.462% | 20.42% |
源泉徴収は「前払い」で、年末調整で精算される
賞与の源泉徴収税額は、あくまで概算の前払いです。会社員の場合、1年間の正しい所得税は12月の年末調整で計算し直され、すでに源泉徴収された税額との差額が精算されます(国税庁の年末調整Q&A)。そのため、賞与から引かれた所得税が、その賞与に対する「本来の税額」というわけではありません。
計算が変わるケースと、来年以降の注意
- 賞与(社会保険料控除後)が前月給与(同)の10倍を超える場合や、前月に給与がない場合は、算出率の表ではなく、月額表を使う別の計算方法になります(国税庁)。
- この記事の表は令和8年分(2026年中に支払う賞与)のものです。令和9年1月1日以後に支払う給与には改正後の源泉徴収税額表が適用されるため、来年の賞与は、公表される新しい表で確認してください。
自分の月給と賞与で試すには、賞与手取り計算をお使いください。年間の手取りは手取り計算で確認できます。