家を取り壊して更地にすると、固定資産税は6倍になる?住宅用地の特例がなくなっても、課税標準額は価格の70%が上限(固定資産税は最大4.2倍、都市計画税は2.1倍)

家を取り壊して更地にすると、住宅用地の特例(200㎡以下は価格の1/6)がなくなりますが、住宅用地でない土地の課税標準額は価格の70%までしか上がりません。価格2,100万円・200㎡の土地では、固定資産税が49,000円から最大205,800円(4.2倍)、都市計画税が21,000円から最大44,100円(2.1倍)で、「6倍」にはなりません。取り壊した最初の年度は市町村内の住宅用地でなかった土地の平均的な負担水準が前年度の水準とみなされ、負担水準が60〜70%なら据え置かれます。1月1日の状況で決まる時期の注意と、家屋の税がなくなる分も、地方税法の条文で計算しました。

公開日 2026年10月23日

出典の確認・検証・訂正について

空き家を取り壊すと、固定資産税が「6倍になる」と言われます。住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準額が価格の1/6(200㎡以下の部分)に下がる特例があり、更地にするとその特例がなくなるからです。ただ、「6倍」はそのまま当てはまりません。住宅用地でない土地には、課税標準額が価格の70%を超えないようにする負担調整があるためです。地方税法の条文どおりに、取り壊したあとの税額を計算しました。

価格2,100万円・200㎡の土地(家屋の床面積100㎡)なら、住宅が建っているいまは、固定資産税49,000円・都市計画税21,000円(合計70,000円)です。取り壊して課税標準額が価格の70%(上限)になると、固定資産税は205,800円(4.2倍)、都市計画税は44,100円(2.1倍)で、合計249,900円(3.6倍)です。「6倍」にはなりません。

「6倍」は、課税標準額が価格の100%になる場合の数字

住宅用地の特例では、小規模住宅用地(住居1戸あたり200㎡以下の部分)の固定資産税の課税標準額は価格の1/6、都市計画税は1/3です。200㎡を超える部分(一般住宅用地)は、固定資産税が1/3、都市計画税が2/3です(地方税法第349条の3の2、第702条の3)。住宅用地でなくなって課税標準額が価格の100%になれば、1/6からは6倍ですが、土地の課税標準額は100%にはなりません。

住宅用地でない土地(商業地等)は、課税標準額が価格の70%を超えるものは70%に下げられ、60〜70%のものは前年度の額に据え置かれ、60%未満のものは、前年度の額に価格の5%を足した額(60%まで)にしか上がりません(附則第18条1〜5項。令和6〜8年度)。つまり、固定資産税の課税標準額は、住宅用地でない土地になったあとも、最大で価格の70%です。

取り壊す前の区分固定資産税の本則上限(70%)の倍率都市計画税の本則上限(70%)の倍率
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)価格の1/64.2倍価格の1/32.1倍
一般住宅用地(200㎡を超える部分)価格の1/32.1倍価格の2/31.05倍

住宅用地は、家屋の床面積の10倍までの敷地です。広い土地で、10倍を超える部分は、家屋が建っていても住宅用地でない土地です(施行令第52条の11)。この表の倍率は、課税標準額が上限の70%になったときの最大の数字です。実際の税額は、次の「最初の年度」と「負担水準」で決まります。

取り壊した最初の年度は、前年度の額が「市内の平均的な負担水準」とみなされる

住宅用地だった土地が住宅用地でなくなると、前年度の課税標準額は「その土地の前年度の価格 × 市町村内で前年度から住宅用地でなかった土地の課税標準額の総額 ÷ 価格の総額」とみなされます(附則第18条の3の「用途変更宅地等」)。この平均的な負担水準は、市町村ごとの数字で、公表されていません。住宅用地でない土地は、負担水準が70%を超えれば70%に下げられ、60〜70%に収まるように調整されているので、おおむね60〜70%と考えられます(この範囲は、条文の仕組みからの推測です)。

その水準を前年度の水準として、毎年の負担調整をかけると、固定資産税(土地)は次のようになります(価格2,100万円・200㎡、評価替えなし)。負担水準が60〜70%なら、1年目の額で据え置かれます。60%に届かない場合は、毎年、価格の5%ずつ上がって、60%に達したところで据え置かれます。

市内の平均的な負担水準1年目2年目3年目4年目住宅のまま(49,000円)の倍率(4年目)
50%161,700円176,400円176,400円176,400円3.6倍
60%176,400円176,400円176,400円176,400円3.6倍
65%191,100円191,100円191,100円191,100円3.9倍
70%205,800円205,800円205,800円205,800円4.2倍

固定資産税(土地)は、負担水準60%なら3.6倍、70%なら4.2倍で、おおむね3.6〜4.2倍です。都市計画税は、住宅用地の特例の率が1/3なので、同じ水準で1.8〜2.1倍です。評価替え(令和9年度、次は令和12年度)で価格が変わると、負担水準も変わります。

価格別の税額: 住宅のまま・取り壊した最初の年度・上限

200㎡以下の小規模住宅用地で、固定資産税と都市計画税の合計(土地だけ)です。「最初の年度」は、市内の平均的な負担水準が65%の場合、「上限」は課税標準額が価格の70%の場合です。「住宅のまま」は、負担調整が終わって課税標準額が本則(価格の1/6・1/3)になっている土地の額です。

土地の価格住宅のまま取り壊した最初の年度(65%)上限(70%)上限の倍率
1,000万円33,200円110,500円119,000円3.6倍
2,100万円70,000円232,000円249,900円3.6倍
3,000万円100,000円331,500円357,000円3.6倍
5,000万円166,500円552,500円595,000円3.6倍

家屋を取り壊すと、家屋の固定資産税と都市計画税はなくなります。たとえば価格800万円の古い家屋なら、固定資産税112,000円と都市計画税24,000円(合計136,000円)です。土地で増える額から、家屋でなくなるこの額を引いて比べます。

1月1日に家屋が建っているかで決まる

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)の状況で課税されます(地方税法第359条)。住宅用地かどうかも、1月1日の現況で判定します(東京都の案内など)。年の途中で取り壊しても、その年度の税額は変わりません。12月に取り壊すと、翌年1月1日に住宅が建っていないので、翌年度から住宅用地の特例がなくなります。逆に、1月2日以降に取り壊せば、その年度はまだ特例を受けられます。

取り壊したあとに同じ人が同じ敷地で建て替えるときは、特例を続けられる場合があります。東京23区の都税事務所の案内では、前年度の1月1日に住宅用地で、当年度の1月1日までに新築工事に着手していて(建築確認の申請書の受領などで確認できる場合は、3月末までの着手)、同じ敷地・同じ所有者であることなどが要件です。申告も必要です。手続きや期限は市町村で違うので、土地のある市町村(東京23区は都税事務所)に、取り壊す前に聞いてください。

条例で、増え方に上限がある市町村も

地方税法の附則第21条の2では、市町村が条例で「負担上限割合」(110%以上)を定めて、前年度の課税標準額に対する税額の増え方を抑えることができます(令和6〜8年度)。東京23区は、税額が前年度の1.1倍を超える住宅用地等を減額する条例減額を設けていると、東京都主税局が案内しています(平成29年度の資料)。ただし、附則第21条の2第2項は、この上限の基準になる前年度の課税標準額にも、附則第18条の3の「用途変更宅地等」の扱いを当てはめています。取り壊した最初の年度は、前年度の額が「前年度の価格×市内の平均的な負担水準」とみなされるので、条例の上限が取り壊しによる増え方を抑えるとは言えません(条文の読みで、自治体の案内で確かめたものではありません)。条例の有無と割合は、市町村の案内で確かめてください。

放置すると、取り壊す前でも特例が外れることがある

建物が建っていても、空家等対策特別措置法に基づく勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、住宅用地の特例の対象から除かれます(地方税法第349条の3の2第1項)。この場合、家屋が建ったままでも、土地は住宅用地でない土地として、上の表と同じ水準(課税標準額が価格の70%まで)で課税されます。取り壊す前に、市町村から勧告を受けていないか、通知を確認してください。

この計算に入っていないこと

令和9年度以後の負担調整の制度は、令和9年度の税制改正で決まるので、この表は令和6〜8年度の条文が続くものとした試算です。市町村内の平均的な負担水準、条例による負担上限、地価の下落による価格の修正、減免は入れていません。実際の税額は、固定資産税・都市計画税の計算で、価格・前年度の課税標準額を入れて確かめられます。解体費用の補助、相続した空き家の売却の特別控除、建て替えの特例の細かい要件は、市町村・国税庁の案内で確認してください。

出典

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、税務・法律・投資その他の専門的助言ではありません。金額は概算の目安で、制度や金利は変更されることがあります。個別の状況については、税理士・社会保険労務士・金融機関などの専門家にご相談ください。